後藤を考える

書いた人

応援上映狂人(くるいんちゅ)

双子の鑑別に注力している


応援上映。

その名の通り、映画の登場人物に対しての思いを声援で届けることの出来る、一般人が迷い込んだら最後お互いに地獄を見ることになるでお馴染みの映画の上映方法のことである。

2024年1月19日の上映を皮切りに、ゴカムもついに応援上映が開催された。多い場所(新宿)で現在までに七回行われている。

ゴカムが好きなオタクが一堂に会し、自らの推しに対して時に声にならないオタクの悲鳴を合法的に聞くことが出来るのが応援上映の醍醐味だ。オタクの悲鳴はオタクにとって重要な栄養素である。

さて、誰への声援が一番多いのだろうか。

尾形?月島?鶴見中尉?土方?やっぱり杉元?

否。

後藤竹千代である。

後藤竹千代とは、杉元が北海道の川で砂金を採っている際に、今作の目的である『アイヌの金塊と刺青の囚人』(ハリーポッター?)について話すオッサンであり、最初に登場する囚人の一人である。そして真っ先にマタカリㇷ゚に襲われて死ぬ男でもある。

そんなさっさと退場してしまう後藤だが、応援上映の会場で恐らく主人公である杉元よりも名前を呼ばれる回数が多かったのではないか、と錯覚してしまう程度に彼への声援は凄まじいものであった。竹千代のことが大大大大大好きな100人のオタクでもいる?というくらい声援が毎回パワーアップしている。

ここではそんな後藤竹千代への声援がどうしてあそこまで大きく広がったのか、いくつか理由を考察してみたいと思う。

ここから先はゴリゴリの主観しか入っていないので各自自衛してください。特に夢が苦手なオタクと同担拒否のオタクは読まない方がいいかもしれないです。


①序盤で皆の声が出やすい

なんか若干、応援上映だとウォーミングアップ感は否めない。喉鳴らし的な……カラオケでいうところの発声練習みたいな。

応援上映力(ぢから)のある活力溢れるオタクなら約二時間ぶっ続けで叫べるのであろうが、後半は喉がだいぶ死んでしまう。

最初はほんとそんな所謂肩慣らし的な感じだった筈だ。それなのに、次第に竹千代への声援は大きくなり、終いには皮になってまで呼ばれ始め、竹千代人気は留まることを知らない。

②言いやすい

言いやすいよね。たけちよ。叫びやすい。

声に出して読みたい日本語、竹千代。千代に八千代に竹千代。国の偉い人に怒られそう。表現の自由。

あと、表記揺れならぬ呼び揺れしないのはデカい。

例えば鶴見中尉を応援する場合、鶴見派と中尉派と、応援の仕方が微妙にズレる。月島軍曹に至っても似たような現象が起こる。月島派と軍曹派。

けれど、竹千代はその名前の響きからか、後藤ではなく竹千代と呼ばれることが定着した。後藤呼びが定着していたら恐らくここまでの声援にはならなかっただろう。

もっと言えば、名前呼びと声援(キャーとかワーとか格好いいとか)でもまたズレる。例えば尾形は尾形か悲鳴にならない悲鳴に凡そ二分されたが、竹千代はカッコいいとか可愛いとかはなくて、竹千代で統一された。徹頭徹尾竹千代。最後まで竹千代たっぷり。

③登場人物が少ない(対抗馬が少ない)

序盤のシーンで応援、となると杉元or大自然or竹千代と選択肢が限られるのも要因ではないだろうか。

そしてどう足掻いても竹千代が不利な状況下なので、竹千代頑張って!が増えるのかもしれない。

笠原と比較すると、白石と一緒に登場することと、その死因が尾形に射殺されるという人気キャラクターに囲まれてしまっている関係で笠原を呼ぶよりもその横や背景にいる彼等を呼んでしまうことが多かったように思える。

かと言って、笠原の声援がゼロという訳ではない。竹千代が皮になってまで呼ばれ続ける際に、同じく皮となっている笠原のことも忘れないで!と謎の配慮がなされていた。マジで一体どういう配慮なんだ。倫理観と配慮がおバグり遊ばせていらっしゃる。

④静けさ

今作の目的と世界観は最初の竹千代のセリフに集約され説明される。そのためBGMが比較的穏やかなものが多く、オタクの声が聞こえやすい傾向にある。対して例えば終盤の馬橇大乱闘スマッシュブラザーズでは重低音かつ壮大な『Breaking Dawn』が鳴り響くので座る場所によってはオタクの声援が全く聞こえないなんてこともザラである。そもそも二百席程度ある映画館のキャパで既に前方と後方の聞き取りは中々難しい。

皆でサウンドトラック買おうぜっ!(ダイマのシライシ)

⑤ツッコミどころが多すぎる

竹千代は動作が多い、かつツッコミやすいという面で歓声が多くなる傾向にある。

・酒を呑む

・自分から聞いたくせにどうでもいいとかいう

・急に意味深な話を長尺でし始める

・雪山で寝ようとする

・勝手に喋り始めたのに喋りすぎたとかいう

・銃の扱いがど下手くそ

・返り討ちにあい逃げてどっかに行ってしまう

など、枚挙にいとまがない。

その後も竹千代に関するツッコミは止まらず、発見時には冷やし竹千代や迷子の竹千代くんや竹千代を探せ!と言われ、皮になっちまっても竹千代と呼ばれる始末。ところで冷やし竹千代って何……?冷やしきゅうり的なこと???

⑥竹千代のガチ恋勢がいる

単純に私の預かり知らないところで、竹千代のことが皆大好きなのかもしれない。竹千代ガ粘獣がいても何ら不思議ではないし、竹千代同担拒否オタクがいてもおかしくはない。

ガチ恋勢、正妻の座を勝ち取り子を成したところで酔っ払った竹千代に普通に殺される未来しか見えないけど大丈夫かな……。


長々と書き綴ったが、まとめると「喉に余裕があること」「呼びやすいこと」「大喜利がしやすいこと」「会場内で皆が何を応援しているかの声が聞こえやすいタイミングが多く、同調しやすいこと」「ガチ恋勢がいる」が、結果的に竹千代に対する声量の大きさに繋がったと考える。

もし、今後ゴカム応援上映が開催される機会があれば、是非とも参加して竹千代の名前を呼んで応援して欲しい。一万回ダメでも一万一回目は何か変わるかもしれない。何が?

ところで、私の推しも腸になっても呼ばれ続けていいんじゃないかな。