2025.12.11/優しい人になりたい

昏解
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公開:2025/12/12

常識のない喫茶店/僕のマリ

・二年前くらいに訪れた透明書店にて購入。長らく積まれていた。

・内容としては、著者が勤めていた喫茶店での出来事をまとめたエッセイ。その喫茶店が風変わりで、嫌なお客さんが来たら叱ってもよく、あまりに目に余る客は出禁にしてしまう。それがマスターだけでなく、すべての従業員に許されている喫茶店なのだ。一般企業に勤め、心を病んだ経験のある著者は、この嫌なことは嫌だと主張できる、立ち向かっていける職場に馴染み、様々なカスハラにノーを突き付ける。

・私自身もサービス業に身を捧げているので、こういうお客さんいるよな~とか、そこまで言っちゃうの!?とか、クスっとできる共感がたくさんあっておもしろかった。ただ、自分がこんなふうに変われるのかと言われると、やっぱりまだ尻込みしてしまうところがある。

・本当に痛い目を見ていないからかもしれない。よくこんなに怒れるなとか、全然自分を曲げないなとか、これってセクハラか?とか、そういうお客の対応をすることもある。それに対して声をあげようという気にならないのは、単に自分が面倒くさがりだからだろうか。怒りの感情を抱き、それを伝えることは、とても誠実な態度だと思う。だから、勝手に他人の善性を信じて怒りを放棄している私は、自分の燃費だけを重視した不誠実な人間かもしれない。

・最近のSNSの傾向から、ちょっとでも、ほんの一部の誰かに対してだとしても、悪が見受けられればすぐに火の手があがることに辟易している。SNSをしている人々にとって、自分以外の人間はみんな敵なんだと思う。この本のように、正当な主張を正当に述べることは間違っていないはずなのに、クスクス笑いながら読んでいる反面、内部がすーっと冷やされ続けている感覚だった。私は、私を守ることが最優先事項のはずなのに、他者の主張にいつの間にかもみくちゃにされているのではないか? 私が私らしくいられること。それを探している途中のくせに、他人の権利ばかり気にしている。それは、他人が私に言う「優しい」ということだろうか? 私は優しくない、思いやる気持ちがないのだから。いつか私は本当に優しい人になれるだろうか。

@kurakurage
読んだ本についての雑感とか日記とか、ネタバレあり