2026.01.02/ディッセンバーレポートという名の『UFO山』感想

昏解
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公開:2026/1/2

・あけましておめでとうございます。2025年は個人的にいろいろと変化の大きい年になりましたが、この月一のレポート、及びしずみーは思ったより長続きしていて嬉しいです。そんな最終月のよかったコンテンツを紹介させてください。

・UFO山:いつもであれば、YouTube動画が多くなりがちなのですが、今月はこの『UFO山』が突き抜けておもしろかったのでしっかり感想を書きたいと思います。ネタバレを含みますので、未視聴の方はぜひご覧になってください。モキュメンタリーシリーズTXQ FICTIONの第四弾。

・番組の発端となるのは、十数年前、市民登山家 蜂谷修一が雪山で遭難し、全裸の状態で死亡したという事故。彼の所持品が登山にしては少なかったこと、その中にUFOに関する書籍やメモが見つかったこと、遭難した朝日山という場所でたびたび謎の発光体が目撃されていたことなどから、事故当時は「UFOの仕業ではないか?」との噂が囁かれていた。この事故について、彼の死因は単なる低体温症であったのか、それとも宇宙人によるものなのか、テレ東スタッフが調査取材を進めていく。

・前作三つや、それ以前の大森時生プロデューサー作品と比較して、今回の『UFO山』はホラー要素よりもドキュメンタリー要素の強い作品だったと思う。だから、最初に取材拒否されてしまったいちばんの重要人物である蜂谷の息子に辿り着くまでの、長い長い回り道の過程を観る番組だった。テレビ番組、SNS、UFO専門家への取材、そういった不確かな情報源の情報をどうにかこうにか繋ぎ合わせながら、取材を続けていくテレ東スタッフの動力源は、執念だろうか、それとも好奇心だろうか。

・最後に待ち受けていた蜂谷の息子、吉岡空への取材シーンがとにかくすごかった。どんどん肌がぞわぞわしてくる。朝日山周辺で起きていた発光体現象や大学生の集団不審死、シロクマの目撃情報などを取材陣と一緒に順々に追いかけてきた視聴者にとって、これらの事件は繋がりを見出さずにはいられない。もしかしたら、朝日山は本当に「UFO山」なんじゃないかと。そして最後に息子が提示してきた動画には……、吹雪の中UFOに呼びかけ続ける蜂谷しか映っていない。

・そして吉岡が語った、霊安室の父の遺体の手が小さかったこと、顔の損傷が激しかったこと、だからあの遺体は父でなく宇宙人が残した身代わりで、父はこの宇宙のどこかでまだ生きているんじゃないか、という仮説。ニコニコと笑いながら、「あの映像を観て、どう思いますか?」と取材陣に問いかける姿は、この仮説を誰かに肯定してほしい、という気持ちの表れだと思う。ずっと笑っているのに今にも泣きだしそうな吉岡は、本当のドキュメンタリーに登場する遺族のように見えて、胸が苦しくなる。そして、取材後に送られてきた彼からのメール。そこに添付されているホームビデオで、蜂谷と吉岡がここまでUFOに傾倒していた理由が、幼い息子が父に「UFOが観たい」と言ったことが発端だったとわかった瞬間、彼らが信じたかったものが見えてじんわりとした気持ちになる。

・冒頭の方、一見関係なさそうな事柄を飛躍した根拠で強引に結びつけるような展開は、いかにもオカルト!という感じで楽しめた。そこから、牛舎の監視カメラで宇宙人らしきものを捉えた牧場主が、彼の息子の死がそれと関係あるのではないかと証言し始めたあたりから、最後の吉岡のところまでは、「なぜオカルトを信じるのか?」→「それは誰かにとっての救いとなりえるから」という当たり前だが忘れがちなことを思い出させてくれる展開だったと思う。この一連のお話は、UFOの存在を否定はしないが肯定もしない。だから、ここに登場する人たちのように、私たちに対してもUFOを信じる権利、信じない権利は開かれている。どちらか一方に決めつけたがる社会の中で、どちらでいてもいいし、誰にもそれを否定することはできないし、自分が誰かを否定することもできない、というのは、人々が言うところの祈りだと思う。

@kurakurage
読んだ本についての雑感とか日記とか、ネタバレあり