小学校の離任式で花束を渡す役になった話

kure
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幼稚園から小学校2年生までは、外ではまるで口をきかない子供だった。幼稚園の時、先生に「肝油ドロップいる人〜?」と、言われて順番に「はい!」と言ってもらうのだが、あまりに返事すらしなかったので、先生から「お口があるんだから喋ろうね」と言われたのを覚えている。今、我が子が保育園児だが、そんな子供は一人も見当たらないので、さぞ奇妙な子供だったことだろう。多分、今なら自閉症やら何やら病名を付けられていた気がする。

さて、小学校3年生になる時に「これじゃダメだ」と思い、思い切って友達の輪の中に入って喋りかけてみた。すると、あっという間に友達がたくさん出来た。こういうことか、と思った。

そこから人が変わったように喋るようになった。小学校5年生の時にはなぜか学級委員もやったような気がする。多分、小学校の後半戦が人生で1番明るい時期だったかもしれない笑。

小学校5年生で、1年生の時の先生が再度僕の担任になった。人が変わったように友達と遊ぶ僕を見て先生は驚いたことと思う。僕が、たまたま授業の問題を他の子より早く解いて持っていくことがあると、とても大袈裟に褒めてくれた。

その先生は小学校6年の時に離任することとなった。離任式の時には手紙を読む生徒と、花を渡す生徒の2人が選ばれる。先生と個人的に話をした機会はほとんど無かったが、僕は花を渡す役に選ばれた。先生からしたら、余程心配な生徒だったのだろう。

人間、知らぬ間に、他人に心配をかけているものだ。