目が覚めた。と同時に、冷めた夢から醒めた。「忘れたいのに、なんで出てくるんだよ」 何度目かわからない水滴は、布団を水玉模様にグレーへと染めていった。部分的に冷たくなった布団の端を握りしめて、熱くなった目頭を指で押さえつけて、なんとか寝室から這い出る。このぐちゃぐちゃした気持ちの中から文句の一つでも言ってやろうと思って。 正座をする。そして、手を合わせる。「俺の未練にならないで」短文kurinoki/natsuki最近は短文を不定期更新。ねこがすき。