宙に浮いたともだち

kurinoki/natsuki
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 幼子の記憶の彼方、賑やかしく、色とりどりの光が舞う遊園地。音楽が泳ぎ、子どもたちの笑い声が走る、いつかの楽しい思い出は美しく残る。

 そんな中にポツンと、僕はともだちと二人だった。無口だけど心やさしい彼は、迷子になった僕にそっと寄り添ってくれた。二人だけで、周りの時間が止まったその時間は、長いようで短くて、特別だったのをよく覚えている。頭一つ抜けた彼のおかげで両親と合流できて、四人で一緒に帰ったんだ。

 …ヘリウムガスのきみは、もうとっくにしぼんでしまったけれど。

@kurinoki
最近は短文を不定期更新。ねこがすき。