さかなのおもいで

 焼き魚を食べるたび、いつも思うことがある。この子を全部腹の中に収めたら、いつも見える記憶がある。静かで、青い、誰かの記憶。

(この子は、人生…いや、魚生をどう生きたのかな)

 暗くて、冷たいけれど、優しくてあったかい、誰かの思い出。海の中から見上げる太陽は、海水の屈折で綺麗に光ることを、わたしはよく知っていた。

「あぁ、美味しかった。お粗末様でした。」

@kurinoki
最近は短文を不定期更新。ねこがすき。