夜空に浮かんでいる月へと手を伸ばした。新月から4日ほど経った頃だろうか。あまりにも両端を鋭利にしているそれはどこかいじわるな顔をしていた。(知っているよ、そこにいるきみが磨いたんだろう) 懐かしいあのひとの香りを浮かべて、あのひとにだけ聞こえるように、そっと心の中でつぶやいた。 そんな三日月を覆ってしまいそうなほど大きな手をかざす。人差し指でそっと触れれば突き刺さってしまいそうな月を、ずっと、そっと眺めていた。短文kurinoki/natsuki最近は短文を不定期更新。ねこがすき。