黄昏時のおやすみ

kurinoki/natsuki
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 世界がオレンジ色に染まる時、幼い日のわたしはお母さんと手を繋いでいた。帰るよ、と砂にまみれたバケツやらスコップやらを小さな手でひっつかんで、名残惜しくて振り返った海は夕日にキラキラと光って輝いていて、その光景を今でも覚えていた。

 おひさまが海へ沈んでいくたび、おやすみなさいと心のなかで唱えていた。でも後からおひさまは地球の裏側を照らしていると分かって、海のおふとんにもぐっていたんじゃなかったことを知った。

@kurinoki
最近は短文を不定期更新。ねこがすき。