jQuery論争に思うこと

Kuropen
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これまでNext.jsで構築されていたデジタル庁のサイトがDrupalからの直接出力になり、それに伴いテクノロジースタックとしてjQueryが検出されたことから論争となっている。分析によると積極的にjQueryを使おうとした結果ではなく、何らかの依存ライブラリが原因であろうとのことである。

この論争に関するスタンスは各人の立ち位置やキャリアによるものもあるだろう。私個人としては、自分の趣味としてはTypeScriptのフレームワーク(Next.jsとかAstroとか)も使うが、業務では PHP Laravel のプロジェクトでjQueryを使っている。その理由としては、以下のものが挙げられる。

  • 担当業務の現時点での仕様はIEへの考慮が必要だった時代のものであるため、IEを考慮するならばjQueryのクロスブラウザ対応は意味があったこと

  • 体制上、エンジニア以外がコードに触る可能性があるという状況による要求により、そのような非エンジニアが使えるものとしてjQueryを用意しておかなければならない → とすればそれに伴うオーバーヘッドは織り込み済なので自分のコードもjQueryベースにする

確かにIEを考慮しなければ、jQueryの担っていた役割はjQueryがなくとも可能である。ただ、それはjQueryよりはどうしてもロジック的に煩雑になる。

デザイナーはワイヤーフレームを出すだけ、その実装はエンジニアがやります、といったような徹底的な分業が図られている世界なら、jQueryを排除したりであったり、SPAフレームワークを導入するような形でも十分回っていくのだろう。

しかしデザイン科の短期大学を出てエンジニア職をしている身内曰く、同級生でロジック的な話が通じない例も少なくないという。であるならそのようなロジック的な複雑性は極力排除できた方がよい。おそらくそのような見地から、Webデザインに関する教材でも、HTMLとCSSと並んで、jQuery前提での教育を行っている例が多いのだと思う。

つまりjQuery採用を批判するエンジニアは、まずそのWebデザイン教育の現場でjQueryの教育がされている状況に関してその理由を分析し改善策を示すべきであって、それをせずに表面的な批判だけをするのはデザイナーとエンジニアの分断を招く行為と考えるところである。

@kuropen
一人旅とガジェットが好きなWebエンジニア。 SNSへのリンクはこちらから: kuropen.org