アド・ポリシーが必要な時代

Kuropen
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先日、デジタルガジェット情報サイトの「すまほん!!」が広告ブロッカーの除外設定を求める記事を発表した。

悪質な広告の増加

有料会員制である場合を除き、多くのWeb媒体にとっては広告は重要なマネタイズ手段である。しかし昨今は内容・見せ方ともに悪質な広告の増加が指摘されている。

内容として悪質なものの代表例はサポート詐欺であり、独立行政法人情報処理推進機構 (IPA) がその対処法についてまとめるほど大規模な問題になりつつある。

一方見せ方としては、狭小なスマートフォン画面に対して本文を読むのが困難なほどの広告を配置するページ遷移をインターセプトして全画面広告を挿入するなどがある。

同サイトは予てからそのような悪質な広告の増加について公式X (Twitter) アカウントで度々指摘してきた。私も以前、広告ブロッカー付きのブラウザを使うに至った経緯について書いた際に同サイトのTwitterでの指摘を論拠にしたことがある。

件の記事は、その悪質な広告の増加というところは引き続き認めており、それに対抗するための広告ブロッカーは認めざるを得ないとした上で、閲覧者に広告表示を求めるにあたって、そのような悪質な広告には与しないと宣言している。

「広告ブロックしたら記事を見せない」スクリプトの存在

悪質な広告の増加の動きから広告ブロックの利用率が増加する中で、単純な広告収入の低下を嫌ったメディア側には、広告ブロックを検出し記事を見せないというプラグインを導入するものもある。

この場合ユーザー側は、記事を見るために上記のような危険・不快感を受け入れて広告ブロックを切るか、逆にその記事・サイトの閲覧をやめるかという選択を迫られることになる。

広告ブロック機能を有効化されて売られている端末などない中で、そもそも広告ブロックがなされているということ自体、ユーザーが広告のあり方に対して疑問を抱いているということに他ならない。そこから考えれば、単純に広告ブロッカーを外せと言ったところで―よほど価値のあると思われる記事であれば外さざるを得ないだろうが―単純に外そうという人はどれほどいるのだろうか。

広告に対する考え方 = アド・ポリシーの表明が必要

広告を通じてのマネタイズを考えるのであれば、ユーザーの目線に立って、自分たちのWebサイトの広告表示がどのように見えるかを検証し、サイト側の収益とユーザー・エクスペリエンスを両立できる広告のあり方を追求し、それに基づいてサイト側がどのような考え方で広告を掲出しているのかを表明する必要があるのではないかと考える。

さきの「すまほん!!」の事例は、そういう意味では先進的な事例の一つになるのではないだろうか。

@kuropen
一人旅とガジェットが好きなWebエンジニア。 SNSへのリンクはこちらから: kuropen.org