物議を醸したAppleの広告動画。描きたかったことはおそらく、薄いiPadにこれだけの機能が融合していますよということ。
しかし、楽器・画材・レトロデバイスが破壊されるさまを時間を割いて見せたのでは見る人が受ける印象は破壊的なものであるし、さらにその演出自体が15年前のLGのCMに酷似しているという指摘も受けている。
「これさえあれば、何もいらない」は2015年にMicrosoftが発表したSurface Pro 4のCMキャッチコピーだが、実際いかなるPC・タブレットでもクリエイティビティツールを代替することは理論的にはできる。しかし、そのデバイス自体を含めたそれぞれの道具の使い勝手というものがあり、全てを代替できるような使い方をしている人はほんのわずかだろう。
そしてそのようなクリエイティビティツールを破壊する映像を宣伝として放映してしまったことは、本来iPadと共存するはずのそういった道具を否定する印象が先行してしまう。だから、日本人の付喪神信仰のような受け手の倫理観もさることながら、Appleの主要な顧客であるクリエイターを敵に回す行為となって非難を受けることになったのではないかなと。