全くその通りというわけではありませんでした。嬉しいことです。
僕はそんなこと言えませんでした。いつも「お疲れさまです」から会話が始まるのでした。思えば、ずっと前からそんな感じじゃないですか。二三交した言葉はやはり服装に関することでした。
目的地に向かうとなって、僕は「荷物持つよ」と言いました。定石だからです。やはり一旦断られました。いつも通りです。
歩幅を合わせずに歩くことなんてできるはずがありませんでした。未練がましい生き物であるのではなく、そのようにするしか知らないのでした。荷物はいつの間にか私の手元にありました。いつも通りです。
何気ない話をするのは私ではありませんでした。やはり聞き役が性に合っています。電車の時刻の話をして、コインロッカーの話をしたのでした。
エスカレータを下っても間が持たなくなることはありませんでした。ため息をつくこともなく、いつも通りです。本当に。
そこから先は本当に自然に時間が過ぎるだけでした。まあ大体いつも通りです。本当にいつも通りです。あっという間に時間が過ぎました。初日はそんな感じだったと思います。