無題

久住哲
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公開:2025/12/22

今朝は少し寒く、雪も降った。昼近くになると、コンクリートの上の雪はおおかた溶けていた。

庭に出て、車の雪をおろしていると、祖父が小屋の入り口に佇んで、微笑みながらこちらを見ていた。

近づいて行って、「なにしてんだば?見回りしてるんずな」と言うと、祖父は笑った。

「なんが探してるんず?」

「いや、ただ居るんだ」

「んだが、ただ居るんずな」

私は笑った。祖父は、変わらず微笑んでいた。その微笑みは、それより他の表情を忘れてしまったかのように、顔に貼りついていた。

「寒ぐねんずな?」

と言うと、祖父は思い出したかのように、自分の体を抱くようにしてみせて、すこし震えながら「冷えるな」と言った。

さみんだば戻ればいいよ」と言って、私は祖父を残して小屋を後にした。

@kusumiakira
デライター。dlt.kitetu.com/KNo.3FD3 なお、「無題」というタイトルのものは、実際に起きたことであるとは限らない。