妹がどこか行こうというので「森の中のカフェに行きたい」という私の欲求をもとに行き先を探し、篠栗方面に車を走らせる。
去年仕事でオープン前に行ったきりだったから、到着して何組も待っている人がいるのが見えて震えた。うれしい反面、こんな場所にも行列ができるのかという複雑な気持ちになった。待つ間、あれこれ話していたらあっという間に順番が来た。30分くらい経っていた。
窓際のソファがある特等席に通されるタイミングだったら良いなと、また自分の運を試すような気持ちを抱いたものの、現実は窓際から一番離れた奥のテーブル席だった。ただ、窓側を眺めるかたちになるので、美しいアーチ状の梁や窓の外をゆったり眺めることができ、とてもいい席だった。なにか甘いものを頼もうと思いメニューに目を落とす。妹はあんみつとチーズケーキで迷い、チーズケーキに決めた。私もチーズケーキが食べたかったが、妹はあんみつを食べたがっていたし、同じものを頼むよりかは別のものを頼んで分けるのがいいのでは、と逡巡し、でも同じものを食べるのもいいかもと思い結局チーズケーキにした。「いいじゃん」と妹はあっさり言った。たっぷり入ったコーヒーと甘いものを優雅に味わいながら、たわいもない話、そこそこ真剣な話、家族だから話せることなどをたくさん話した。学生時代、私がうつで学校に行けなくなったとき、共通の友人が多い元彼が私のことをいろいろ言いふらしていたらしく、ほとんどみんな私から離れていった。後々いまでも中のいい友人に「あのとき言い返さなくてえらかったよ」と言われたのを覚えている。妹は、「なんで一方の意見だけ聞いて判断できるんやろうね」と言った。これは人間関係に限らず、会社でも社会でも同じことが起こっているし、自分も知らず知らずのうちにしてしまっていることだとは思う。それで離れていく人ならそこまでかもしれないが、「そんなはずはない」と思われないのは単純に自分の力不足という場面も多々ある。学生時代の私はまさにそれだった。見てる人は見てるから、お天道さまに恥じないように自分を律していくしかない。
カフェを出て、妹が靴下を買いたいというので近くのイオンモールに移動。雑貨をかごを持ち歩くほどの量買ったり、ゲーセンに行ったりした。最後に牛たんを食べた。牛たん屋さんは、メニュー表の写真より数倍美味しそうなものが出てきて、妹も目を丸くしていた。初めて食べた付け合わせの南蛮味噌がとても美味しくて、仙台に行ってみたいと思った。
帰りの車で「良い時間やったな」とつぶやくと、「うん」と返事があった。