職業訓練の合否通知日。結果は17時までにメールするとのことだが、チケットの当落など、こういう結果発表においていい知らせは早い時間に届くものと思っているため、午前中のうちにメールが来なかった時点で気持ちは絶望に近かった。こういうまさに「人事を尽くして天命を待つ」に相応しい状況のとき、私は天を試しているところがある。本当にその道に行くべきなのであれば開かれるし、もしそっちに行くべきでないときは閉ざされる。そのため、今回ももし不合格だった場合は「そっちじゃない」と天が教えてくれていることと受け止め、大人しく和歌山県での梅の加工補助のバイトに応募しようと思っていた。しかし、それもすぐ決まるか分からないし今後生活をどうしようと、安定していたときには考えもしなかった先の不安が一気に押し寄せてきた。
あまりにもそわそわして、前日夜中までゲームをしてしまったことや毎日昼近くまで寝ていることなど、日頃の自分の行動を省みては布団を被りたくなるような衝動に駆られていた。いまさら遅いのに、どうにか徳を積もうと部屋を綺麗にしてみたりトイレ掃除をしてみたりした。半ば諦めかけていた昼下がり、メールが届き、無事合格を知らせていた。今回に限っては願書もみっちり書いたし面接での受け答えも変なことは言わなかったので、これで落ちたら諦めるしかないと思っていたから、文面を見て今回ばかりは思わず大きな安堵の息が漏れた。この道で良かったのだという安心も得られ、残り少しになっていたジグソーパズルに取り掛かった。
落ち着いたからか、ジグソーパズルは思ったよりも早く完成した。リビングに行くと、新聞に挟まっていた公立高校の入試問題が目についたので自室に持ち帰り早速解き始める。<脳を鍛え、集中力を高める>と謳われていたジグソーパズルだったが、大問を一つ解いただけで圧倒的ブドウ糖不足を脳が訴えていた。また別のパズルを買おうと思った。
夕食時、両親に職業訓練に行けることになったことを報告すると、ものすごく喜んでくれた。日本を転々としてときどき戻ってくる生活になるかも、と伝えると、「いつでもここから羽ばたきなさい」と手を羽ばたかせながら母が言った。
天命を受けた道は、もしかしたら正解ではないかもしれない。それでも、選んだ道を「ここで良かった」と思えるように日々取り組むだけだ。約半年間の訓練、自分の希望を叶えつつ無理なく過ごしていきたいと思う。