昼の便を取ったと思っていた飛行機だが、よくよく見ると夜になっていた。今日この日に向けてさまざま調整してきたため、四時間のぽっかり空いた時間を手にすることになった。
午前中はハローワークの指定来所日になっていて、時間は一時間と記載があったためそれが延びることを期待して向かう。簡単な聞き取り調査があり、期待とは裏腹に十分程度で終了した。帰り道にちょっとした買い物を済ませても、帰宅したのは十時半過ぎだった。あまりにも暇すぎる。どうせならきっとやらなかったであろうことをしてみようと思い、提出を諦めていた職業訓練の任意の課題に手を付けた。うまく出来たかは定かではないが、一応提出には漕ぎ着けることができた。それでもまだ正午にもなっていない。飛行機は十八時の便である。いっそのことこれから数日まともにできなくなるゲームに没頭しようと思い、原神をつけた。あっという間に十四時にはなったが、家を出るのは十六時である。まだ二時間もある。意識していないときは光陰のように過ぎていくのに、きっかり決められた時間を与えられただけでこうも持て余してしまうものなのか。仕方なく原神であてもなく歩き回り、ようやく十六時になった。
少なくない回数飛行機には乗っているけど、いつまで経っても緊張する移動手段だなと思う。道中電車が止まったり道が混んだりして間に合わなかったらどうしよう、チェックインで弾かれたら、手荷物でエラーが出たら、ターミナルの移動に手間取ったら、ゲートの場所を間違えたら…と不安要素は枚挙に暇がない。飛行機は一事が万事になる代表例で、一つでも間違えば全てが水の泡になる可能性がある。なぜここまで不安になるのかというと、学生時代などに散々やらかしてきたからである。あの血の気が引く感じは、二度と味わいたくないほどだ。特に海外は、乗り継ぎを間違えるなどしたら映画の『ターミナル』ではないけど行く当てがなくなり、途方に暮れるはめになる。だからこそ、飛行機は「好きだけどいつまでも緊張する移動手段第一位」だ。
今回は無事に全ての手続きを済ませ、ほぼ定刻通りに関西の地に降り立つことができた。ただ、今度は何をしていても「本来なら四時間前にはここにいたはず…」と手配ミスの後悔がついて回ることになった。日付を間違えたわけではないし無事に着いたからそれでいいのに、なかなか消化することができない。こういうときみんなはどう折り合いをつけているのだろう。
その後悔はホテルに着いてからも消えず、あまりの情けなさにフロント以外の景色が見えなかった。ただ、幸いなことにいまは水星が逆行していて、交通機関の乱れや確認ミスなどが起こりやすい時期でもあるから、そのせいにすることでなんとか持ち直すことができた。このくらいで済んで良かったじゃないか、と。そうしたら、チェックインの際に「今回シングルでご予約をいただいておりましたが、あいにく満室になってしまったためツインのお部屋にアップグレードさせていただきます」との神の声にも聞こえるような声が聞こえた。やはりこの世は陰と陽だ。部屋に上がり、くたくたの体をパリパリのシーツに預けて眠りについた。