20240901
起きてみたらいい天気。もう覚悟を決めて行くしかない。新幹線に乗っても道すがらは大体晴れてて、台風は一体どこに行ったんだと思う。けど大宮くらいから天気が崩れてきて、着いた東京は雨が降っていた。11:30にミッドタウンで友達と待ち合わせて、お昼ご飯を食べてCLAMP展へ。確か美術館の入り口でもチケットって買えたはずだよなと思っていたら友達が既にチケットを買ってくれていてちょっと感動する。
外で2時間くらい待つことを覚悟してハンディファンも充電したしビオレの冷タオルも持ってきたけど、行ってみたらあっさり待ち時間なく入ることができて嬉しかったけどちょっと拍子抜けしてしまった。けど、これはこの一連の台風騒動で来れなくなった人が絶対いただろうと思うとまじで許すまじ台風となる。入り口で友達が福山潤のオーディオガイドをもらう列に並んだので、じゃあ私も〜と並ぶと「私はもう聴いたけどあなたにも聴いてほしいからあなたが聴いてね」とほいっと渡されてしまう。またも感動する。早速ボタンを押して再生してみる。ルルーシュの声にしか聞こえない。いや、ルルーシュなんですけど。
展示は感無量だった。カラー原画はもはや絵画。Xの小鳥ちゃんの原画でスカートの裾のレースの描き込みがものすごいやつがあって、足を止めてガン見してしまう。ティーンズルビー文庫を読んでいるXの神威くんの原画が可愛すぎてガン見してしまう。そうでなくともカラー原画コーナーではみんな足を止めて一枚一枚ガン見していくのでなかなか列が進まない。カラーにしてもモノクロにしても、こんな素晴らしい状態で保存しておいてくれて本当にありがとうの気持ち。あと写真撮影OKなの神すぎる。ここぞとばかりに聖伝とXとレイアースを中心に撮りまくったらカメラロールがすごいことになった。個人的には聖伝の乾闥婆王と蘇摩の最期、Xの星史郎さんの最期の原画を見ることができて、死ぬなら今がいいわと思っていた。「乾闥婆王、蘇藦を手に掛けるくらいなら二人で逃げたらよかったのに」と友達が言う。令和の聖伝だったら二人はそうしたかもしれないけどこれは如何せん平成の聖伝なのだった。「星史郎さんのせいで昴流くんが煙草に手を出してしまった」と友達が嘆く。彼女は星史郎さんを目の敵にしている。そして私はCCさくらの知世ちゃんの愛の言葉にうっかり泣いてしまいそうになる。知世ちゃん、絶対幸せになってほしい。
いろんな言語が聞こえるな〜と思いながら見ていたのだけど、すぐ隣にいた英語のお兄さん二人づれが原画を見ながらめちゃくちゃマシンガントークでさくらちゃんの知識をこれでもかと披露していてちょっと感動してしまった。私はさくらちゃんについてはなかよしでリアタイしていたけど実は単行本も買ってないしあんまり覚えてもいなくて、だからお兄さんたちの解説(英語)がめちゃくちゃ面白くて笑ってしまう。でも洪水の如き解説が一息ついたときの「僕は漫画は読んでないんだ、全部アニメで見たからね」という言葉に衝撃を受ける。漫画を読んでくれ。
展示でお腹いっぱいになりすぎて出口に着く頃にはへろへろになっていたけれど、ショップに足を踏み入れた瞬間何かが覚醒する。ショッピングバッグを持ってしまうともう終わりである。ポストカードセット、図録、クリアファイル、付箋、ミニ色紙(ランダム)、マルチケース、ポーチ、イラストカード、正気が追いつかない速さでバッグに次々放り込み、そしてお金は湯水の如く消えていった。前述のティーンズルビー文庫を読んでいる神威くんの複製原画(5万6,000円)に一瞬本気で心が揺れる。「事後通販もあるよ」友達が囁く。かくしてショップから出た頃には入場から4時間が経過していた。1Fのカフェでコラボドリンクを買ってコースターをもらい、しばし休憩してから美術館を後にした。
新宿にてもう一人の友達と合流し、しこたま肉を食べしこたまワインを飲む。この友達二人が繰り広げる漫画トークにいつも私はついていけない。ラストマイルの話からMIU404の話になって、ここを出てからどっかで見ようという話になる。カラオケに移動し、友達のスマホを繋げてMIU404の第1話を視聴。まじの初見だったので楽しく観てしまった。とても面白かった。綾野伊吹の笑顔に心がめちゃくちゃになってしまう。エンドに流れる感電にまたアガる。「星野源が出てるのに歌は米津が歌うんだね」と同じく初見の友達が言う。
新宿で友達を別れ、六本木のホテルに戻る。シャワーを浴びて気づいたら24時になっていた。感無量な一日だった。
20240902
朝起きたらいい天気。眠すぎる。二度寝と三度寝を繰り返しようやくベッドから出て朝ごはんを食べる。食べた後もベッドに寝転がって気づいたら寝てしまう。けれど私にはまだ行きたいところがあった。
チェックアウトを済ませてフロントでキャリーケースを預かってもらい、リュックひとつで向かった先は六本木の文喫。以前からぜひ一度行ってみたいと思っていた場所。受付で平日朝のモーニング料金があるとのことで、そのお金を払って中へ入る。いろんな椅子があってちょっとわくわくする。隅っこの一人がけソファを陣取って持ち込んだ『平熱のまま、この世界に熱狂したい』を読む。文喫のなかの本を読もうかと思ったけれど、読みかけで出発時間が来てしまうと買わざるを得なくなってしまうため、やめておいた。
日常では、ありとあらゆる「何もかも」が起こっている。非日常のほうがいろいろなことが起こるではないかと思うかもしれないが、それは違う。非日常では、その非日常性がもたらす「何か」に焦点が絞られ、実はたくさんのことが起こらない。非日常は、日常を極端に限定させたかたちで目の前に立ち上がらせる。非日常には、非日常的なことしか起こらないのだ。一方、日常は本当にありとあらゆる「何もかも」が起こっている。その「何もかも」が起こっていて、ありのままの確かさを掴み取ることができる凪の日常を僕は愛したい。一生懸命に「寂しい人」を生き、平熱のまま、この世界に熱狂したい。
宮崎智之『平熱のまま、この世界に熱狂したい』ちくま文庫 pp.261-262.
まさに「非日常」の中に身を置きながらの読書だったので、確かにそうだよなと思ったのだった。
お昼で文喫を出て、ホテルで荷物をピックアップして東京駅へ向かう。ジュンブラのときにここのカヌレは美味しいよと友達から教えてもらったグランスタ東京のカヌレのお店boBへ行く。グランスタ店限定の朝焼き半熟カヌレを3個買って新幹線に乗る。結局行きも帰りも北陸新幹線は止まることなく、私の旅行もつつがなく終わり。車中、米津玄師を聴きながら寝た。