20260416

kyri
·
公開:2026/4/16

以前の日記にも書いたけど、弊社には電子電話帳みたいなシステムがあって、内線・外線番号とメールアドレスはデフォルトで表示されるのだけど、そのほかにも自由記述欄みたいな、入社から今までの略歴とか、今の仕事とか、ちょっとした一言を載せられるようになっている。そして、毎年この新入社員の人たちが入ってくるタイミングで中身を入力してくださいね! という慫慂メールが届く。というのも、入ったばかりの人にしてみればどこの部署の誰がどんな仕事をしているか、どんな人なのか、というのがこの電話帳が手がかりになるから、ということらしいのだ。というわけで、私も今まで自分のページなんか一度も触ったことなかったけど、そこまで言うならなんか書いておこうかな、ということで、白紙だった自分のページに行く。入社までの略歴を書き、今担当している仕事を書き、そして、ちょっとした一言を書こうとしたところでふと止まる。ちょっとした一言って、何書けばいいんだろう? 他の人たちは家族構成とか、出身地とか、趣味とか、近況とか書いてるみたい。というわけで、試しに「読書と映画が好きです」と書いてみた。それから「ふと思い立って、学生のときに使っていたドイツ語をもう一回勉強しています」と。そしてそれ以上書くことがなくなってしまった。そして思う。私、めちゃくちゃ凡庸じゃないか? と。ドイツ語を勉強しているのはまあ別に嘘ではないのでいいとして、読書と映画が好きって、100人いたら50人は書きそうなことだ。当たり障りのないことトップ3くらいに入りそうな気がする、読書と映画。でも、私の場合は何か他に隠したいことがあって、それを隠すために当たり障りのないことを書こうとしてそう書いているわけではないということが、ますますなんというか、悲哀を誘うというか、うわー平凡だ、私……という思いになんだか泣きたくなってしまう。私、こんなにありふれた、平凡な、凡庸な、どこにでもいる人間だったんだ。

思えば、私は自分のことを非凡だと思っていた。ずっと思っていた。なぜそう思えていたのかは今となってはわからない。だけど、私は私のことをずっと、本当は非凡だけれど周りに非凡と知られてしまうと面倒だから凡庸な人間のふりをしている人間なのだと思っていた。実際、若いときはそれなりに非凡だったんだと思う。高校時代に演劇脚本で賞を取ったし、大学でも卒論で賞を取ったし、とりあえず、表彰される立場の人間ではあったんだと思う。だけど、それも今となっては過去のこと、もう10年以上も昔のことで、10年以上が経てば、私の非凡なんていとも簡単に非凡ではなくなってしまう。非凡も、非凡であり続ける努力がなければ非凡でい続けることはできない。そんな当たり前のことが私にはわからなかった。漫然と時間は経ち、年を取り、今となっては、何にも残らなくなってしまった。私は今や全然、非凡ではない。どこにでもいる、ただ、読書が好きで、映画を観ることが好きな、それだけの人間だ。もちろん、創作をすることは好きだけれど、それを書いたところで、今や、創作をするくらいでは非凡とは呼べないだろうと、どこかから声がする。昔よりも創作をする人口は増えて、創作くらいでは、私の非凡をどこにも証明できない。証明できないことは存在できない。私は非凡ではない、ただただ凡庸な、一人の人間だ。

私は自分の非凡をながらく疑ったことはなかった。というより、私は私の非凡にしか興味がなくて、自分以外の他者もまた同じように非凡なところがあるということを、知ろうとしなかった。解ろうとしなかった。私は私の非凡にしか興味がなかった。だけど今、私の非凡は消え失せて、ただ凡庸な私だけが残って、途方に暮れている。凡庸な私として、どうやって世界と向き合っていけばいいのかがわからない。ずっと自分は非凡だと思っていたからさ。でも、人に興味を持ってもらえるような趣味もなく、特技もない。私はどこにでもいる。そして、私はどこにでもいるけれど、私の周りの人は、どこにもいない。一人一人が、かけがえのない人だと心から思う。ようやく、周りの人の非凡を素直に、心から感じられるようになった。ということは、私も私で、他の人から見たら何かが非凡なのかもしれない。そういうアプローチで、これからは自分の非凡を探していくしかないのかもしれない。どうしたって凡庸だろうと、私の目からばかりものを見ているとそうなるのかもしれないけど、そこに他者の眼差しを入れること。


今日は大阪の本社の方から人が来て、会議をして、それから飲み会だった。この日記は半分泥酔しながら書いている。書き始めは泥酔してたけどここまで書いてだいぶ酔いが覚めた。前回の日記にも書いた通り体調があんまりよくなくて、とりあえず今日は頑張ろう、でも如何せん体調がよくないので、後ろめたいけど明日は休もうということで休暇を申請して、でも申請しておいて良かったなと思っている。それくらいに泥酔していたので。お店の人が差し入れに日本酒の一升瓶を入れてくれて、それをしこたま飲んでしまった。私はお酒を飲んでも顔色が一切変わらないので全然酔ってないんだね〜とよく言われるのだけどそんなことはなく飲んだ分だけしっかり酔っている。酔うのは気持ちいいけれどあとからしっかりしんどい。明日は休み。ゆっくり寝て、何をするかは明日考えよう。

@kyri
週末日記