今日もお天気がいいので頑張って朝から図書館へ行くことにする。今日のお供は朝吹真理子『TIMELESS』と堀江敏幸『もののはずみ』。『TIMELESS』の方をぐんぐん読み進めて、また11時に一旦離脱。

しばらく行ってなかったカレー屋さんに久しぶりに行くことにする。今月のカレーはポークビンダルー。しかしビンダルーというのがどういうカレーなのか、食べ終わってもわからない。普通のカレーと変わらないような気が……(絶対そんなことはない)カレー屋さんのインスタにはちょっと酸味が〜とか書かれていたのだけどこの酸味もあまり感じることがないままに食べ終わってしまった。バカ舌なので……でもお肉がほろほろで柔らかくてすごく食べやすくて良かった。お肉が柔らかいとそれだけで幸せになる。単純です。
このカレー屋さんはお味は毎回美味しくて大満足なのだけど、しょっちゅうインスタでスタッフ募集のお知らせをしていたり、人手が足りないからディナー営業をやめたりしている。なんでかな〜と思っていたのだけど、今日なんとなくわかった。店長が、バイトの人に、当たりがきつい……客相手にはめちゃくちゃいい人な笑顔なんだけど、厨房でバイトの人に指示を出すときの声が怖い。店長が怖くて、奥さん? らしき女性がそれをカバーするように穏やかに人を回している。なるほど、この店にバイトが居つかない原因を見たような気がした。美味しいからこれからも行くと思うけど、でも厨房でのやり取りってカウンターに座ると結構よく聞こえてしまうので、店長は、ちょっとは改善した方がいいんじゃないかな……まあ、これからも行くと思うけど……

ゆりちゃんのくちびるが、八〇〇度の炉の中で燃えていた。火葬炉は人体のやわらかいところすべてをすさまじい速度で燃やしつくす。人体を構成していた、酸素、炭素、水素、窒素、それらが排気口からはきだされて、大気に流れてゆく。焼き場が稼働しているあいだ、ビールを飲む手をとめて、手洗いのついでに表に出た。どこから煙がでているのかわからなかった。彼女の燃える煙が大気にのってゆく。やがてそれが雨滴になって落ちてきたりする。かつてゆりちゃんを構成していた原子のいくつかが、私の呼気にとりこまれてゆくだろうか。私たちは、なにかから継がれていてまたべつのなにかへと受けわたされてしまう。ゆりちゃんを焼くときにも、香木をひとかけでも添えれば彼女の焼けるにおいがわかったかもしれない。
朝吹真理子『TIMELESS』新潮文庫 p.26.
8年前に読んだときも、今日読み終えたときも、頭に残っているのはゆりちゃんのことで、ゆりちゃんのことをもっと聞きたかったなと思うのだった。ゆりちゃんはどんな子で、どんな病気を得て、どんな最期だったのか、それを知りたかった。うみの語るゆりちゃんはすごく断片的で、だけど昔の記憶ってそもそも断片的なものでしかあり得ないからゆりちゃんの情報が断片的なのもしょうがないことで、しょうがないことではあるのだけど、それでも私はゆりちゃんのことが知りたかった。アミとどんな話をしたのか、どこへ行ったのか、アミのことを本当に好きだったのか、この小説からはわからない。というか、8年ぶりに読んでもこの小説にはわからないことが多い。解説で江國香織がこの小説の「応答の少なさ」について書いていた。だけど、8年ぶりに読んで、確かに「あの時はわからなかったけど今ならわかる」という感覚もあって、ああ、私もちょっとは朝吹真理子に追いつけたのかも、なんて思ったり。個人的には第一章の方が好きだな、うみの語りの方が実感が伴っていたような気がする。第二章のアオの語りは、アオの体験することが夢みたいなことっていうこともあるのだけど、どこかふわふわしていて、いっそう捉えどころがない。ともあれ再読できて本当に良かった。なんか、今なら『流跡』も『きことわ』もわかるのかも? 読んでみようかな? それこそ、10年ぶりくらいに……
帰宅して、堀江敏幸『もののはずみ』も読み終えた。優雅すぎるよ堀江敏幸。パリの路地裏の古道具屋で見つけたちょっとしたものたちにまつわるエッセイって、普通の人はそんなエッセイ書きません。そして、出てくる「ちょっとしたものたち」も、見る人によっては本当に取るにたらないものなんだろうけど、堀江敏幸の魔法にかかればどれもこの世に一つしかない大事な大事な宝物のように見えてくるからすごいのだ。『定形外郵便』を読んだときも思ったけど、深すぎる教養にボコボコにされるこの感じ、太刀打ちできない。この本、私が駅の古本市でハードカバー版を買ってから白水Uブックスで再刊行されているのだけど、でもこの余白を活かした贅沢な装丁とかはハードカバー版ならではかもしれない。
そして連休は終了。このシルバーウィークは日記を頑張ると決めていたので、とりあえず毎日日記を書けて良かったし、本もたくさん読めて良かった。明日からまた仕事なの本当に嫌だよ〜〜〜〜今週はあと2日でまた土日とか言っても嫌なものは嫌だよ〜〜〜〜5日休んでようやく心身が落ち着いてきたのでもういっそ週休5日にすべき。働くのは週に2日もあれば十分だ!