ものすごい悪夢を見て目が覚めたのだけどしばらくそれを夢だと認識できなくて、というか本当に夢で良かったのか自信がなくて、SNSまわりの悪夢だったのだけど起きてからもしばらく怖くて現実のSNSを開けなかった。動悸が凄まじかった。こんな怖い思いをするくらいならSNSなんて永遠にやめてしまいたい……と思いはしても所詮は口だけの話で、そんなことを言ってきっと私はいつまでもぐだぐだとSNSを使い続けるだろう。使い続けるのはいいけどそろそろSNSとの適切な距離感を見つけたい。SNSというかインターネット全般。
ということで今日は柚木麻子氏の講演会へ。面白い話たくさん聞けた! 最初に質問に答えるコーナーから始まり、山内マリコ氏との交流、マリコ氏と共同編集した田嶋陽子特集のこと(話聞くまで忘れてたけど私もこの本持ってる!)、文学賞のこと、作家仲間たちのこと、虎に翼のこと、メディアミックスと原作者の関係のこと、今イギリスで爆売れしている『BUTTER』のこと、今度その『BUTTER』絡みでイギリスへ行く予定のこと、お子さんのこと、などなどいろんな話をしていただいた。
・田嶋陽子特集については私も発刊されてすぐ買って読んだ覚えがあるし、この特集号のおかげで田島氏の『愛という名の支配』も手に取ったんだった。この本もまた面白かった記憶があるし、今日の話を聞いてまた本棚から引っ張り出さなければと思った。
・柚木氏も寅に翼を絶賛していた。この先は虎に翼の亜種みたいなドラマがすごく増えるだろうとのこと。その亜種たちはクオリティについてはピンからキリまであるだろうけど、そのピンからキリまであるということまで含めてすごくいいことだと思う、と。ここまでくると私のテレビドラマを追いかけない性質、少しずつ改めていった方がいいのでは……と思えてくる。テレビドラマが流行の全てだとは思わないけど確かに取りこぼしているものは大きい。私の家族もなんだかんだでNHK+を使って完走しており、えっ? いつの間に……聞いてないんですけど……。
・今イギリスで『BUTTER』が爆売れしていることについて、その理由が「女の生きづらさ」でも「ルッキズム」でもなく「友達を作りたくてもがいている物語だから」というのは私もへえ〜と思った。というのも、今イギリスでは世代を問わず友達が欲しいけどできないという問題がかなり深刻らしい。これに対してイギリスの文学は「自立した女性の物語」とか「そもそも一人でも素晴らしい物語」が多くて、「友達を作りたくてもがいている物語」というのは確かに少ないのだそう。そこに柚木氏の『BUTTER』がベストマッチして、爆売れしているらしい。『BUTTER』私も読んだしもうめちゃくちゃ面白くて続きが読みたすぎて朝5時とかに起きて会社行く前に読んでた覚えがあるけど「友達を作りたくてもがいている話」とはあんまり思ってなかったというか、それこそ上述した「女の生きづらさ」とか「ルッキズム」の話だろうと思っていたので、そんな視点があったのか〜と新発見。そこまで言われたら『BUTTER』も再読しなきゃいけないな。
・総じて、とてもパワフルでアクティブでポジティブな人だった。とりあえずやってみる。やってみてから考える。そしてやり切る。英語も全然上手くないけど今度オックスフォード大学で講演するし、歌も上手くないけどカラオケでは歌い切ることに定評があるという。帰宅してから家族とも話したけれどこの姿勢でいればそもそも「失敗」って概念がなくなりますよね。私も結構とりあえずやってみるタイプの人間ではあるけどそれでも足踏みするときはあるので、そういうのどんどん取っ払っていこうと思った。今の私の関心ごと的にどうしても書くことについて考えてしまうけど、ハードル高いな〜と思ってるとしてもとりあえずは書いてみればいいんである。すごく元気をもらえた。やりたいことがあるならやればいい。
講演会が終わった後にサイン会。『BUTTER』と悩んだけど、結局昨日再読した『終点のあの子』を持っていった。私は柚木氏に限らず本人を前にすると何も喋れなくなる人間なのだけど、勇気を振り絞って「この本が今でも一番好きです」と言えて良かった。昨日の日記でも書いたけど、そう言われることについて嬉しいかどうかはもはや私にはわからないことではあるけど、それでも、この小説はもしかしたらもう令和の時代には流行らないかもしれないけど、世に出てくれただけで十分価値はある。少なくとも私にとってはこの小説こそが柚木氏との出会いだった。出会わせてくれたこの小説には今でも感謝しかないのだ。それにしても、先日の濱口竜介氏のサイン会でも「富山の方ですか?」と聞かれたのだけど柚木氏からも「富山の方ですか?」と聞かれた。なぜだ? 私はそんなに富山人っぽくないのか?
思うに、私は会話の瞬発力がなさすぎて、今日の日記だって柚木氏本人に伝えたらそれでいいところをこうして後から文章にして、ようやく自分の言いたいことが言えたと満足して、眠る。私はもっと会話の能力を鍛えた方がいいのは確か。今日みたいにこうして後からゆっくり振り返る時間がいつもあるとは限らないし、そもそも日記にまとめたところで本人には届かない(届くこともあるかもしれないけど)。本当に言いたいことがあるならその時その時できちんと伝えていかなくちゃならない。先日会社でキャリア面談があったのだけど、そこでも私は上司から「なんでも言いたいことを言ってええよ」と促されたにもかかわらず結局そこまで話せずに終わってしまった。鈍臭い人間だなあと思う。
でも、こうして後から振り返って文章に起こす自分のことがそんなに嫌いじゃない。音楽をかけて、落ち着いて振り返る時間にいつもほっとしている。心が安らぐのを感じる。日記に書くことで満足するということは、そもそも私にはどうしても本人に伝えたいことというものが存在しないのかもしれない。伝えなくても満足できる人間なのかもしれない。それはそれで、そういう性質だということだからそれでいいのかもしれない。
でも、キャリア面談では正直になった方がいいと思う……今後の自分の仕事が(異動の有無も含めて)めちゃくちゃ左右されるので……こればっかりは後から後悔しても遅い……。