明けましておめでとうございます。気づけば3日になっちゃった。
元日は朝からすることがなくて、おせちを食べて部屋で寝てたら地震が来た。最初はほんのりゆらゆら揺れてるくらいで、あ〜また能登の方で地震があったのかな、と、去年の5月にも結構大きめの能登の地震があったので、ぼんやりうつらうつらした頭で思っていたのだけど、そのうちどどどどど、と大きな揺れがやってきて、それがあまりに長かったものだから、ベッドから跳ね起きて机の下に隠れた。本棚の上に積み上げた本大丈夫かな、と思う。今更鳴り響く緊急地震速報のアラーム。あの、なんて文字起こししていいのかわからない音。プワーっ? みたいな音の。ようやく揺れが収まって、机の下から出て居間に向かい、居間のテレビでNHKニュースを見ようとした次の瞬間、今度はりーんりーんという津波警報のアラーム。テレビの画面も津波警報の画面に切り替わり、アラームは鳴り響き続き、えっ、津波くるの、避難しなきゃいけないの、とりあえず2階に上がる? でも避難した方が良くない? でもどこに? でもとりあえず出ようか、エアコンも何も消してない、いいよいいよ、歩いていく? 車? 車にしようか、出よう、混むから。
ダウンジャケットだけを引っ掴み、スマホをポケットに入れて家を出た。山の方に向かうほど車の量は増えて、ちょっとした渋滞にもあった。車の中で能登に大津波警報が出たことを知る。5メートルの津波。私たちの家はどうなるだろう、ここには3メートルの津波が来るという。3メートルって、うちの海抜はどれくらいなんだろう。帰る頃には家が流されてたりするんだろうか。だけど、全部家に置いてきたのに? ラジオではひたすらアナウンサーが「今すぐ逃げること!」と強い声で言い続けている。「住み慣れた家が気にかかるというのはわかります、でもあなたの命が一番大切なんです!」
電池が勿体無いな、と思いつつもスマホをつけてtwitterを見る。いろんな人が災害情報をリツイートしている。みんなきっと当事者ではないのに、なんだかすごく心強かった。少なくともみんなこの地震に関心持ってるんだ、心配してるんだ、と思うことは、絶対、私たちはそれどころじゃなかったはずなのに、確かに心強かったんだ。一人じゃないな、と思えて。こんな時に一人だとか一人じゃないだとか、やっぱりどこか、私は現実の中に居なかったのだろう。
高台の運動公園に2時間くらい避難して、いつまで経っても警報は解除されなかったし、先述の通り家族全員ほぼ手ぶらで来たのもあって、一度家に帰ることにした。この、一度家に帰るという判断が間違いで、次の瞬間に来るかもしれない大津波に飲まれて死んだりしたらどうしよう、とも思ったけれど、これを書いているように、今のところ私は生きている。家に帰ってまず荷物をまとめた。次に出ていくときのために。リュックサックの中に500mlペットボトルのお茶を3本くらい入れて、家族3人分の荷物を置いた。気もそぞろに夕食を食べて、NHKのニュースを一晩中つけたまま、ダウンジャケットをすぐ掴める場所に置いて、家族3人で居間で寝た。私はまた夜中に避難するかもしれない、と思うと怖くて眠剤を飲めず、そのせいで一晩中ほとんど眠らなかった。テレビの明かりが暗い居間をぼうっと照らしているその光の揺れをぼんやりと見ていた。テレビの画面が映す輪島の火災。真っ赤な炎と煙。
2日になってもテレビはずっとNHKのニュース。母が急遽出社になったので、父と二人きり。二人とも居間から動かずに、ただニュースを見て過ごす。高校演劇部との新年会の予定だったけど、夜が遅くなるのが気掛かりでキャンセルする。夜になってようやくニュースから離れて、NHK+で配信されていた紅白を後半だけ見る。みんな「2024年が良い年でありますように」と笑顔で言っている。この翌日にこんな大地震が来るとは誰も思いもしないで。だけど、つい数日前の華やかなステージは見ているだけでなんだかほっとした。これを見ている間にも余震は来るかもしれないけれど、惨禍を伝えるニュースばかりを見てきて、こんなエンタメを見るのがものすごく久しぶりのように思えた。このエンタメの映像に私は確かに救われた。チバユウスケに捧げた10-FEET、縦横無尽にホールを駆け回る宮本浩次、あいみょんの歌に涙を流す浜辺美波、日韓アイドルが勢揃いしたYOASOBI、全部がきらきら輝いていて、とても綺麗だった。
今日も変わらずやることがない。昨日上司から電話がかかってきて、地震のせいで会社がかなり散らかってしまったようで、急遽4日は在宅勤務ということになった。近場に住んでいる人たちで片付け作業をするとのこと。電車通勤の私は無理してこなくていいよとのこと。ありがたい。そんなことを言われると私は遠慮なくお言葉に甘えてしまう。けど誘われていた新年会はキャンセルになってしまった、それだけがちょっと心残り。
紅白のYOASOBIステージがあまりに素晴らしかったのでずっとYOASOBI聴きながらこの日記を書いている。ヨルシカ、ずっと真夜中でいいのに、そしてYOASOBIと、私の中では夜ふかしユニットという括りでいる3グループがあって私はヨルシカ派なのだけど「アイドル」は永遠に聴ける。そういえば友達から『推しの子』も勧められていたけどまだ漫画読んでないしアニメも見ていない。基本的に読んだことない作品に対しては腰が重い。