いい加減にしないとだめだと一念発起、朝から図書館へ行くことにする。ガラス美術館を併設している一大観光地の図書館は朝から激混みだけれど図書館の利用者層は別に平日だろうが休日だろうが変わらず来る人たちばかりなので図書館ゾーンの喧騒はいつも通りという感じ。持参したイ・ジェニ『夜明けと音楽』ハン・ガン『私の女の実』を読み進め、11時に一旦離脱。


いつものパフェのお店でナガノパープルのパフェが出たのでいそいそと食べに行く。ナガノパープルはシャインマスカットよりもちょっと酸味があるけどマスカルポーネと合わせるとすごく美味しい! 結局ぶどうが好きなので、シャインマスカットもナガノパープルも嬉しい。あとどっちも種がないのがありがたい。しかしソフトクリームが溶ける恐怖症であることには変わりないのでものすごい早さで食べ終わり、お店を出る。そしてまた別のカフェへ行き、なんか久しぶりに外出した気がするし、今日は食べたかったものを食べればいいんでは? ということで、栗きんとんのチーズケーキを食べる。今日は甘いものを食べる日。
混んできたのでそそくさとカフェを出て、久しぶりに本屋に行く。海外文学の棚をうろうろし、ミランダ・ジュライの新刊を買おうか迷って結局やめて、ふと何となく歌集の棚に行ってみるとこの本が目に飛び込んできて、引力が凄すぎて、買わざるを得ないというか、多分狙い通りに買ってしまった。

あっ上司! 言ってることがまた違う! 鳥より脳が小さいのかも
舐められたままで黙ってられるかよ メンツの世界なんだよ社会は
うるせーーーー!!! どいつもこいつも好き勝手言いやがってよ!!! 地獄かここは
埃『限界OLクソ短歌』産業編集センター
よすぎか??? 引用したい歌しかない。この職場環境で働きたくはないがこんなに高火力で面白い絶叫短歌を詠めるなら労働も無駄ではないのかもしれない。とにかく元気が出る。出勤のお守りにしたい歌集だ。合間に挟まれる恋の歌もときめきMAXで大変よい。そしてこの恋もめぐる季節に寄り添いながら終局へと向かっていくのがまた切ない。各章のタイトルもいい。「春はのけもの」「夏は虚無」「秋はやさぐれ」「冬も勤めて」おもろすぎる。特に冬も勤めてが最高にいい。文フリで出した本がきっかけで商業出版になったとのことだけど、たまにこういう奇跡みたいな人が出てくるからやっぱり文フリはすごい。2巻が出るなら買います!

テーマや素材を無理に見つけようとせずに、何を書けばよいのかわからないままただ書いていくこと。人生に対する愛情を堅持しつつ。才能と勇気を限りなく呼び起こしながら。持続的に規則的に、少しずつ書いていくこと。長い時を経て、時と時がすれ違ったあとにようやく、そのすれ違いが私を私たらしめたのだと、私は私でしかなかったのだと、悔恨まじりに、それでいて安堵して振り返る瞬間。そんな瞬間こそが、死に近づいたと思う瞬間なのかもしれない。そしてまさにその瞬間、遅ればせながら生まれ変わるのかもしれない。
到達して初めてわかることを、その何かを待ちながら。毎日の机の上で。人生の流れに身を任せて。かすかに信じる気持ちに頼って、すべての瞬間を疑い否定しつつ。知っている名前を、顔を、表情を、色を、声を、街を、空間を忘れ。あたかも初めて見るかのように、この世界を見つめながら。指と心臓で。瞬間の中から瞬間に向かって。
イ・ジェニ『夜明けと音楽』書肆侃侃房 p.212.
こっちは読むのに随分と時間がかかってしまった。詩人である著者の、著者にしかない言葉のリズムとペース、響きが印象的で、エッセイを読んでいるというよりかは一冊の詩集を読んでいるような感覚だった。著者がしきりに書く「書くこと」については、私はそこまでの切実さというか、大きなものに接続するような感覚は持てないなあと思ったり、だけど私自身(詩ではないけれど)書き続けているということはちょっとは似たような側面があるのかなあと思ったり、いやでもやっぱり私が日々書いてるような散文とこの人が書いてるような詩とでは世界が違うなあと思ったり。私の詩人のお友達、絢さんに読んでもらって感想を聞いてみたい本だなあと読みながらずっと思っていた。詩人ではない私が読むと、お母さんを看取る章が特に良かった。2回読み返して、2回とも涙が滲んだ。
帰りに別の本屋に寄って、金原ひとみ『腹を空かせた勇者ども』と朝吹真理子『TIMELESS』の文庫を買った。どっちも単行本を持っているけど、再読するには文庫があった方が便利なので。帰宅して早速『TIMELESS』の方を読み始めた。これは2018年に単行本が出て割とすぐ買って読んだのだけどあのときはなんのこっちゃわからなくて、『TIMELESS』に限らず朝吹真理子の小説は『流跡』も『きことわ』もなんのこっちゃわからなくて、ただただこの人と私とでは頭の出来が違うんだわと思っていたけれど、8年ぶりに再読したら、なんか、わかるかも! あのとき見えなかったものがちゃんと見えているような気がする! 嬉しくてずんずん読み進めてしまった。この秋に朝吹真理子の新刊が出るそうなので、そっちも楽しみだ。私も読者になんのこっちゃわからんなと思わせるような小説を書いてみたいけれどいかんせん私はものすごく単純な人間なのできっと無理。
やっと一日の密度が標準レベルに戻ってきたけれど、戻ってきたと思ったら明日で連休は終わりである。なかなかうまくいかない。せめて明日も本を読もう。