試験前の最後の休日。ということで今日も図書館。お盆休みの終盤だからか何なのか、朝から人が多いような気がする。今日は真面目に勉強するぞ〜と思っていたものの数年分の過去問を解いたら気が済んでしまって、結局持ち込んだ『降伏の記録』を読み進めた。そして今日は坂本龍一の『Opus』を観に行くつもりだったので、13時半くらいで図書館を出て、ドトールで昼食にミラノサンドを食べる。以前も書いたような気がするけどこのドトールには儚い吉沢亮みたいな店員さんがいて、彼を密かに推しているのだけど、今日はシフトに入っていなかった。そもそも、まだバイトしてるのかな? 見た目的に大学生だろうと思っているのだけど、もう卒業して就職してたりするのかな。いや、でもそういえばこの間行ったらいたし、まだ続けてるのかも。ここでまた30分くらい本を読んで、映画館へ。
どうせ映画を観るならザファ復活上映でもいいじゃない、という感じなのだけど、こっちの方は来週末で終映してしまいこの土日しかチャンスがないのでこっちにした。結構お客さんが入っていた。
観ながら(聴きながら)、ずっと、何を思ってるんだろうな、ということを考えていた。もう自分は長くない、もしかしたら、いや、きっとこれが最後になるだろう、と悟った上での収録は、どんなものだったんだろう。どんな気持ちでピアノに向かっていたんだろう。どんな気持ちでカメラを向けられていたんだろう。でも、時折体が痛むように顔を顰めたりしていたけれど、同じくらい、口元に笑みが浮かぶ瞬間もあって、やっぱり純粋に、今このときを楽しんでいたのかな、と思ったりした。そこには万感の思いもあったのかもしれない。自分の人生を振り返って、自分が残してきた音楽をその手で弾いて、日本で一番音がいいホールだと自分で仰ったホールの響きを聴いて、いろんな感情がこもった笑みだったのかもしれない。終わりへ向かう人が弾くピアノは、敬虔な響きがした。弱々しいことはなく、むしろ力強く、正確で、余計なものは何もかも削ぎ落とされて、洗練されて、そして、敬虔だった。全編モノクロの映像がとてもかっこよかった。無駄なものはひとつもなかった。
私は氏の音楽といえば、このセットリストだけで言うなら「Aqua」「The Last Emperor」「Merry Christmas Mr.Lawrence」しか知らなかったし、YMO時代の音楽なんてもっと明るくないし、私なんかが観るよりも長年氏を追いかけ続けてきた人のための映画だろうと思ったけれど、映画館の良い音響で、何の雑音もなく(強いていうなら映画館の空調の音がすごくうるさく感じられたけど)これを聴かせてもらったことはとても僥倖だった。そして、時折聞こえてくる氏の息遣いに、ああ、この人はこのとき、生きていたんだなと思った。そして、今はもういなくなっちゃったんだな、とも。この人がもういないのだということがただ寂しい。どこかで、この人もまた永遠にも生きるのだという気がしていた。そんなわけはなかった。
18歳までピアノを習っていて、家に「Merry. Christmas Mr.Lawrence」の楽譜があったので、たまに練習して弾いていたのだけど、改めて、綺麗な曲だなと、そして、ピアノという楽器の音は本当に美しいなと思った。こんな美しい音色を持った楽器にずっと触れていたのだと、その幸せを思った。そういえば、氏の「Energy flow」が大ヒットしたとき、ピアノの発表会でこの曲を弾いたなと大昔のことをふと思い出した。当時小学生。あのときは坂本龍一がどんなすごい人なのかなんてまるで知らなかったな。
映画館を出て、この映画まるまる一枚CDアルバムか何かにして売ったらいいのに、ていうかサブスクにも入れてくれたらいいのに、と思ってApple Musicを検索してみたらそういうことは私が言わなくても既に誰かが言い出しているもので、きちんとサブスクには入っていたし調べてみたら12月にCDも発売されるそうだ。今は早速サブスクでこのアルバムを聴きながらこれを書いている。寝る前に聴くのが良さそうなアルバムだ。きっとよく眠れるだろう。でも「Aqua」を聴くと『怪物』が思い出されて胸が苦しくなる。さて明日も勉強するぞ。しかしもう復活上映行ったらいいんでは……と思いはする。明日の気分で考えます。