「境界線の3歩先」という考え方

kzk_maeda
·

昔いた会社で、「境界線の3歩先へ行こう」みたいなスローガンが掲げられたことがありました

意味的には、「自分やチームの仕事の枠を超えて、どんどんコラボレーションしていこう」的なことが言いたかったんだと記憶していて、それ自体はすごく好きな考え方なんだけど、当時は「なんで3歩なんだろう?」って思ってました

ただ、なんとなく語感と考え方が好きだったので、自分の中の仕事の核の一つとしてずっと大事にしてきたのですが、最近この「3歩」について、自分なりの解釈が固まってきたのでちょっと書き留めておきます

そもそも、仕事において、自分や組織の「境界線」がはっきりと決まっていることは稀なんじゃないかと思います。特に大企業で組織横断のプロジェクトのPMをしていたり、スタートアップにおいてエンジニア組織のマネジメントをしながら組織をつくっていったりと言った責務を負ってきた中で、よりその考えは強固になっていきました

では、境界線の「1歩」先だとどうなるのか?

先ほど述べた曖昧な境界線において、1歩越境したくらいでは、対向にいる人や組織から見ると、「それはあなたの仕事(境界の範囲内)では?」といった感覚になることも往々にしてあると思います

それは結果として越境したことにならず、間に落ちたボールをちょっと手を伸ばして拾った、という感覚に近いかなと。それもすごく大事なことなんですが、真に越境してコラボレーションするには少し足りない気もします

「2歩」先だとどうなるのか?

片足は先ほどの曖昧な境界領域にいて、そこから1歩相手の領域に入っていく状態をイメージしてみると、この状態は、まだ自分のテリトリーにポジションを置きながら、相手のテリトリーに入っていっている状態、アドバイザーに近いのかな、という印象です

知見や背景知識を相互に活かして相手の領域に対して意見を言えるという状態は、うまく転べばいいコラボレーションになることもあり得ますが、間違えると評論家になってしまい、対向の人・組織から見たときに逆にマイナスに映ることもありそうです

では「3歩」先だとどうなるのか?

ここで、自分の身体は真に相手のテリトリーにいることになります

相手と同じ目線で、同じ背景を持って、自分自身も当事者として相手のテリトリーが抱えている問題に向き合う、必要であれば(可能であれば)口ではなく手を出す、こういったコラボレーションが理想なのかな、と思います

また、3歩先まで歩いていっただけなので、すぐに自分のテリトリーにも戻れます。自身の重要なミッションは本流として据えつつ、対向の課題に真に向き合う姿勢と行動、これが「境界線の3歩先」なのかな、と思います

自分の行動を振り返って、ちゃんと3歩越境できたなと思うこともあれば、これは2歩しかテリトリーを抜けられてなかったな、といった感じで学んでいけると、境界に縛られない、より柔軟で生産的な仕事ができるのではないか、と思います