BLEACHERS /Bleachers
(2024.1.17 /Dirty Hit)
SSWでありプロデューサーのJack Antonoffが率いるバンドbleachers(屋外観覧席の意)。FUN.(リードギターとドラムを担当)の活動休止後に結成していたらしい。プロデューサーとしてはTaylor Swift, The 1975, St.Vincent, FKA twigsやらを手がけていて、もうなんか凄い売れっ子。POPSメーカー。
セルフタイトルを付けられた今作は生命力の塊という印象、聴いているとついつい笑みが溢れてしまうビッグサウンド。Evan Smithの活力に満ちたサックスが心の底から鼓舞してくれるし、歌詞も旋律も全てが生きることの喜びや多幸感を与えてくれる。労働前とか1日の終わりにとか、休日の始まりだとか、なんか色んな場面でマッチする讃歌。
何色でもない花 /宇多田ヒカル -Single
(2024.2.12 /Epic Records Japan)
夜明け前の濃い藍色の中で冷え切った身体が山あいから溢れ込む光の暖かさに気付いて、朝焼けに染まった東の空に希望を見出すような音楽。いずれ必ず訪れる別れや孤独に不安を抱かないよう勇気づけてくれる。宇多田ヒカルが表現するトワイライトは至高。
(AG COOKも参加してるとのことで、やっぱり後半のキックや上物の気持ち良さは彼の仕事なのかと)
アングル /MONO NO AWARE -Single
(2024.2.14 /SPACE SHOWER NETWORKS INC.)
MONO NO AWAREはVo.玉置周啓がDos MonosのTaiTanと2人でやっているSpotify番組: 奇奇怪怪明解事典(現在、奇奇怪怪)において「おもろい事を話す人だな」というところから知った事もあり、音楽性というよりも歌詞の内容が先行して好きになることが多い。今作も起承転結の起と結の合間、結果に至るまでの地続きの部分をひたすら歌っている。白黒ハッキリさせず、その合間の少し馴染んだグレーの表現が絶妙でずっと心地良い。
僕は一寸 /Mac DeMarco -Single
(2024.2.21 /STONES THROW RECORDS)
細野晴臣の「HOSONO HOUSE」が今年で発売から50年を迎えるらしく、その記念にリリースされるカヴァー・アルバム「HOSONO HOUSE COVER」からの先行シングル。日本語上手っ!「ひなたぼっこでも していきませんか」の「して」の声の低さと震え具合が完璧。「僕は一寸 だまるつもりです」の「ちょと」が良い味出してる。
アートワークは西村ツチカ
Still /Erika de Casier
(2024.2.21 /4AD)
NewJeansのSuper Shyとか大好きなのでその延長線くらいに思って聴いてみたのだけどエレクトロでブラック・コンテンポラリーでR&B、どこを切り取っても気持ちの良いリズムが鳴ってるし何よりサンプリングでない生演奏の音が心地良い。プロデューサーはNatal Zaks
Y-Otis Tre /Otis Sandsjö, Petter Eldh & Dan Nicholls
(2024.2.23 /We Jazz Rerords)
ベルリンを拠点にしているテナーサックス奏者Otis Sandsjöの3枚目のアルバム。彼とベーシストでありプロデューサーでもあるPetter Eldh、キーボード奏者Dan Nichollsのトリオが鳴らす音はジャズの懐の深さを感じずにはいられない。ドラムンベースやらエレクトロニカやらアンビエント、あらゆるジャンルが入り混じった自由な旋律で、逆にジャズとする意味があるのかと思うくらい。それでもこの楽曲達はジャムセッションから生み出されたものだと言うんだからやっぱりジャズというやつなんかなと思う。正直、ジャズの定義はわからない。今年のベストに入る事間違い無い傑作。ライブ演奏を是非生で観たい。来日求む。(フィンランドはヘルシンキのレーベルWe Jazz Recordsのリリース、要確認)
Spectral Evolution /Rafael Toral
(2024.2.23 /MOIKAI)
Jim O'RourkeのレーベルMOIKAIから20年ぶりにリリースされるアルバムという事で興味を惹かれた作品。Rafael Toralはポルトガルのギタリスト。12の展開をトラック分けせずにひとまとめにしているのはこちらも覚悟を持って聴く気になる。全体尺47分、25:36のFifths TwiceがLP版のB面の最初のトラックで、曲名を見る限り、それぞれがA面とB面のトラック、対になっているよう。山中をのんびり走っている列車に揺られて下ってきたけど、うとうとと微睡んで気付けばまた列車は山を登っていくのを繰り返すようなドローン音楽。ジャケットの可愛い鳥はヨーロッパシジュウカラ。
tears /羊文学 -Single
(2024.2.28 /F.C.L.S.)
Vo.Gt.塩塚モエカ、Ba.Cho.河西ゆりか、Dr.フクダヒロア。先日、臼井ミトンのラジオで聞いて驚いたのだけど彼らは今までの作品でスタジオミュージシャンを招いたことがなく、今作で初めてチェロ奏者の林田順平を加えての収録になったとのこと。ブラシっぽいドラムの音とチェロの美しさがこの曲が1人のための特別な賛美歌のように輝かせてる。羊文学の曲はいつも自分の過去と未来を希望で世界に繋いでくれる気がする。
Your Favorite Things /柴田聡子
(2024.2.28 /AWDR/LR2)
一曲目の一音目から岡田拓郎の存在を確信させるスライドギターの鳴りと残響音。妙に耳に残る癖ドラムは浜公氣。まきやまはる菜のベースは柔らかくてグルービー。 弦楽器とパーカッションも加わって最高な楽曲Movie Lightが明示するこのアルバムは一味違うぜ感が凄い。柴田聡子の力を抜いたボーカルと言葉選びもちょうど良い距離感でずっと聴いていられる。特に最後のアルバムタイトル曲、Your Favorite Thingsの歌詞で視覚的にロックンロールを使っていることとそのロックンロールという言葉が内包する熱を過ぎた思い出の景色に重ねている具合が音楽のジャンルの枠を溶かして完璧なエンディングを演出してる
覚書
年始早々、自分の年ベストに入る音楽と立て続けに出会えていて楽しい。あと改めて作文能力の低さに驚くので定期的に、断続的にでも文章を考えていきたい。