私はTALKING HEADSというバンドよりも先にフロントマンであるDAVID BYRNEのことを知った。彼とBRIAN ENOとのアルバム「Everything That Happens Will Happen Today」(2008)がきっかけ。一曲目の「Home」の聖歌のような抱擁感にやられて、7曲目の「Strange Overtone」で完全にハマった。
その後、Paolo Sorrentino監督(イタリア)、Sean Penn主演の「きっと ここが帰る場所(原題: This Must Be the Place)」(2012)という映画内で、タイトルの原題である曲のライブシーンに感動してTALKING HEADSの楽曲も漁るようになる。
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今作は1974年に結成されたアメリカのバンドTALKING HEADSが1983年12月にHollywood Pantages Theatreで行ったライブを収めたライブ映画。オリジナルは1984年にアメリカで公開。
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脚立が放置された何の装飾も施されていない舞台。そこへアコギとラジカセを持ったDAVID BYRNEが現れ、プレーヤーの再生ボタンを押す。チープなリズム(TR-808)がループされる。それに合わせてギターを掻き鳴らして彼はPSYCHO KILLERを歌う。こうしてライブが始まる。2曲目、3曲目と進んでいくごとにバンドメンバーが加わり、少しずつ楽器や舞台に装飾や照明が足されていく。常に変化する舞台とシュールな歌詞とダンス、シンプルな仕組みと装置の中から創意工夫された演出が溢れかえってる。それでいて情熱的なプレイというのが胸を打つ。汗を散らしながら奇妙に踊って歌って、大袈裟に楽器を鳴らす。その姿が素晴らしく格好良く見える。ラストアクトを終えるとDAVID BYRNEは一目散に舞台からはけていく、奏者たちも続いていなくなると異様な速さで幕が閉じる。そしてゆっくり幕が上がるとそこはライブ前の装飾も何もなされていない空舞台に戻っている。
何もかもが素敵だった。彼は流動を愛するアーティストだと思った。
【SETLIST】
#1 PSYCHO KILLER/ #2 HEAVEN/ #3 THANK YOU FOR SENDING ME AN ANGEL/ #4 FOUND A JOB/ #5 SLIPPERY PEOPLE/ #6 CITIES/ #7 BURNING DOWN THE HOUSE/ #8 LIFE DURING WARTIME / #9 MAKING FLIPPY FLOPPY/ #10 SWAMP/ #11 WHAT A DAY THAT WAS / #12 THIS MUST BE THE PLACE(NAIVE MELODY/ #13 ONCE IN A LIFETIME/ #14 BIG BUSINESS& I ZIMBRA/ #15 GENIUS OF LOVE(TOM TOM CLUB)/ #16 GIRLFRIEND IS BETTER/ #17 TAKE ME TO THE RIVER/ #18 CROSSEYED AND PAINLESS
ファンキーでアフロなリズムで盛り上がるのが聴いていて楽しい。歌詞の意味合いは愛や環境、規模の大きいことを歌っているんだと感じるけど直接的には家の中の家具や隣人の普段の姿、身近で小規模な言葉で描いていて。自分の普段の暮らしが大海へと繋がっているんだと考えてしまう。
あと毎度思うけど立川の極音上映は最高です
【CAST】
Vo.Gt. DAVID BYRNE/ Ba.TINA WEYMOUTH/ Dr. CHRIS FRANTZ/Key.Gt. JERRY HARRISON/ Pk. STEVE SCALES/ Cho. LYNN MARBRY/ Cho. EDNAH HOLT/ Gt. ALEX WEIR/ Key. BERNIE WORRELL
【STAFF】
Dir.DP. Jonathan Demme
監督及び撮影監督を務めた彼は後に「羊たちの沈黙」という傑作を生み出す