RE:トランス - 女性ホルモン摂取を辞めてみる (1)

lain21
·
公開:2026/3/4

タイトルの通り、これまで10年近く続けてきた女性ホルモン摂取を、辞めてみよう。そうしたら身体は、心は、友人や社会との関わり方は、どう変化するのだろう?という話。

探せばそういう人はそこそこいる(e.g. この人とか)とは思うけど、人によっても経過や前提が大きく異なるので、一つのデータ点として貴重なのでは?と思ってここに書いていくことにした。noteじゃないのは、それなりにセンシティブな話だし、向こうは向こうで私なりのブランディングとかがあるので、一旦このプラットフォームがちょうど良いかなって感じ。

辞めて突然結果がドーン!と出るものでもないので、逐次この記事に連ねる形で経過を追記していこうと思っている。性や身体に関わる話なので、読んで気まずい思いをさせてしまうかも…ということで、この記事を読むのは自己責任でお願いします🙏

私の基本情報

  • この記事の執筆時(2026年3月4日)34歳、生まれの性別は男

    • ちなみに今日誕生日ですいぇい✌('ω')

  • 女性ホルモン摂取は2017年末ごろから

    • 2016年中頃からプエラリアミリフィカという女性ホルモン強化サプリを摂取していたが、効用は極めて限定的なのでノーカン

    • 2018年後半から数ヶ月は病院で注射もしてもらっていたが、基本的には錠剤のみ(注射が死ぬほど嫌いなので)

  • 職場や友人関係では女性として一旦扱ってもらってはいるが、本人的には男性性も一定程度ある、MtX (male to x-gender, mixture)としての自認

    • Nonbinaryというカテゴリーに入ると思うが、ホルモン治療をしているのでもうちょっとトランスの要素が強い

  • 性別再適合のための外科手術は一切していない

  • 恋愛対象・性的対象は女性だが、奇跡的に7年間も続いた人生初の男性のパートナーがいた

  • その彼と3週間前に別れ、そのタイミングでホルモン摂取を中止した

大前提

まず、この記事を読んでくれている人の大半は私の直接の友人だと思うので、大事な前提を記しておくと、私は今、めっちゃ元気です。色々あって精神的に疲弊してはいるけど、日々ちゃんと起きてご飯も食べて運動もして人とも会っていて、希死念慮とかも一切なく、ちゃんと幸せに前向きに日々を楽しく過ごせています。(最近ギターも始めたよ!)

7年間共に過ごしたパートナーとの別れを決断するに際して、自分自身の中で大きな気づきがいくつもあり、結果的に10年近く続けた女性ホルモン摂取を中止し、男性性を一定取り戻して向き合ってみようと思っている。その流れで、せっかくなので一つの参考情報として色々体験したことを書き残しておこう、という感じです。

また、今ホルモン治療の開始もしくはそれの中止を考えていてこの記事を読んでいる人たちへ。女性ホルモン濃度の変化による心身の変化は、私がこれまで見聞きしてきた限り人によってかなりばらつきがありました。なので、「必ずこういった変化が起こる・期待できる!」というものではないです。行う際は自分の身体や医師と相談して、慎重に経過を観察しながら行ってください。

今回の記事の内容

そもそもトランスジェンダーとは?性とは?なんでトランスしようと思ったの?なんで今さらホルモン摂取辞めようと思ったの?といった話は、それらを書き始めると記事が長くなり過ぎてしまうので、このシリーズとは別で書こうと思っています。

なので、このシリーズでは、あくまで女性ホルモン量の変化による身体的・精神的変化だけにフォーカスしていく。まあそもそも摂取を辞めて数週間くらいではすぐに変化は出ないので、今回は、この過去9年間の女性ホルモン摂取の結果自分の身に起きたこと、について書いていきます。

女性ホルモン摂取記録

ホルモン治療には、主に、診断を受けた上で病院で2週間ごとに注射で投与してもらう方法と、個人で錠剤を買って毎日摂取し続ける方法の二種類がある。

*個人でのホルモン錠剤摂取は多大な健康リスクを伴うので、完全自己責任です。そして、絶対お勧めしません。ホルモン治療は、必ず病院に行って、血液検査や定期検診を受けて、医師と相談の上で行ってください。

私は、生来のこの面倒くさがりの性格と、一生引きずり続ける注射への恐怖、そして何よりトランスし始めでボストンに住んでいて、その後もロンドンへ移住するなどの事情もあり、ホルモン摂取量を自分の都合で変えたりできる錠剤での摂取を選んだ。

ちなみに、トランスジェンダーMtFの女性ホルモン治療については、この記事によくまとまっているのでもし興味があればどうぞ↓

以下、私の女性ホルモン摂取の記録とそれに伴う心身の変化についてざっくり記す。全く記録をつけていなかったので、朧げな記憶頼りだけど、だいたいこんな感じだったはず。

ボストン在住時、トランスし始め(2017年後半〜2018年夏)

ホルモン摂取

  • 最初はエストロモン(プレマリンのジェネリック薬、エストロゲン製剤)のみ、一日一錠程度

  • 2018年初夏くらいからダイアン35(低用量ピルとして有名だったやつ)に切り替えた

心身の変化

  • 顕著な肉体的変化はまだなく、汗の匂いが男臭くなくなったり、肌がちょっと綺麗になったり程度

    • 夏服を出そうと思ったら昔の自分の男臭が染み付いてて「クサっ!!」ってなって驚いた

  • エストロモンを摂っていたころはあまりなかったが、ダイアン35に切り替えてから精神的に不安定になったりすることが増えた

    • ダイアン35自体がそれなりに重く(それはそう)、摂取し初めの頃は気持ち悪くなったり頭が重くなったりしてしばらく動けなかったこともあった

    • ここでいう「不安定」は、抑うつ的になったり急に悲しくなって涙が出たり、といった意味

    • 元々多動気味で躁の状態が多いタイプだったので、そこまで気にはならなかった

  • 生まれて初めて、男性に対して友人としての度合いを超える好意を抱いた(しかし、性的な関心はなく、あくまでプラトニックな感情)

日本本帰国、トランス過渡期(2018年後半〜2019年末)

ホルモン摂取

  • 性同一性障害の診断書を早稲田通り心のクリニックにて取得

  • 新宿の林クリニックにて血液検査を受け、注射でのホルモン治療を開始(二週間に一度、プロゲノンデポー(エストロゲン製剤)のみ)

  • 同時に、ホルモン濃度の変化を緩やかにするためにエチニラ(エチニルエストラジオール製剤)を自身でも摂取

  • 男性ホルモンの抑制のために酢酸シプロテロン製剤をピルカッターで切って少量ずつ摂取

  • 病院でのホルモン治療は2019年夏頃に行くのをやめた

心身の変化

  • 全身脱毛にも通ったが、体毛がかなり薄くなり、肌も滑らかになってくすみが減った

  • 髪が伸びて、一本一本が少し細くなり、クセ毛が完全に消えてデフォルトでストレートになった

  • 身体に脂肪がつき始め、顔の輪郭が少し丸みを帯びたり、脚や腕の筋肉が目立たなくなった

  • ほんの少しだけ胸が膨らみ(A-AA程度)、乳頭が少しだけ大きくなって敏感になった

  • 声のトレーニングは一切していなかったが、友人から「声少し高くなったね」と指摘されたことがあった

  • 小さい子どもを見て「可愛い」と思うことが急に増えた

    • ホルモン治療を始める前は特に全く感じたこともなく、むしろ子ども全般が少し苦手くらいに思っていたので、これは衝撃だった

  • この時期に例の男性パートナーと付き合い始めた

    • このタイミングでも男性に対する性的な関心は薄く、以前と変わらず恋愛・性的対象は女性のままだった

    • 彼に対しても恋愛感情はあって、彼とスキンシップを取ったりすることに対してかなり初々しい感情を持ったのが興味深かった

    • 自分にとって新しい性での恋愛だったからかもしれない

    • 彼に対して、女性に対してのそれとはまた異なる「愛おしい」という感情を抱くようになった

  • 男性としての性欲は少しずつ減退し、自慰を行う頻度が激減した

    • 一方で、彼と普段接する中で、抱きしめられたり寄りかかったり甘えたりすることで幸せを感じるようになった

トランス安定期、ロンドン移住(2020年〜2025年)

ホルモン摂取

  • 健康リスクが一番高い酢酸シプロテロン製剤の摂取を辞めた

  • 代わりに、メプレート(プロベラのジェネリック薬、黄体ホルモン)を摂取開始

  • 当初はエチニラ 4錠/日、メプレート6錠/日とかいう狂った量を飲んでいた

  • いつからかは記憶していないが、少しずつ量を減らして、最終的にエチニラ 2錠/日、メプレート 2錠/日、に落ち着いた

心身の変化

  • 身体の変化はこの辺で落ち着いたと思う

    • 毛穴が小さくなり、元々脂性肌だったのが乾燥もするようになって混合肌になった

    • 身体全体に脂肪がついて曲線的な身体のラインが少し出るようになった

    • 嗅覚と味覚がかなり敏感になり、繊細な違いも以前よりわかるようになった

    • 陰茎や睾丸が萎縮し、精液の粘性が減って無色透明無臭になった

    • 少し風邪をひきやすくなった気がするが、加齢による体力の低下とかもあるので関係があるかはわからない

  • 会社の定期健康診断では常にオールAだったので、ホルモン錠剤の肝臓や腎臓への影響はほとんどなかったように思える

  • 精神的には、少し抑制的になった

    • 一日の行動量が減った、というところだが、元々多動的だったのでバランスが少しとれたのではないか

    • 冬季うつになりやすくなった(元々なりやすい方だったけど)

  • 夢の中で一人称が「俺」になることが無くなった

  • 感性的なコンテンツや趣味がより好きになった

    • 詩、絵画、ロック以外の音楽、写真など

    • ロンドンに移住したのも大きいとは思うけど…

  • 女性に対する恋愛・性的指向は依然として強く存在していた

女性ホルモン摂取を辞めてから

そんな感じで2017年から2025年までずっと女性ホルモン摂取を続けてきた。2026年2月にそれを完全に停止してから約3週間、今現在この記事を書いている時点では身体面での変化はあまり感じられない。他の人が報告しているような食欲の減退・消化器系の問題などもなく、極めて健康に日々を送れている。

精神的には色々な変化がすでに起きているが、それは私生活でのさまざまな変化によるところが大きいと思う。7年も付き合ってずっと同棲してたパートナーと別れてるし、そりゃそうよね。まあそれでも一応書いておくとこんな感じ↓

  • 少し活動的になり、あれもこれもやりたいといった感じで多動の度合いが強化された

  • ややもすると、どこか攻撃的とまで感じられるような感情がたまに湧くことがあった

  • 筋トレの時、気合いが入りやすくなって記録が伸びた

まとめ

次の記事は数ヶ月ないし半年後にまた振り返って書いてみようと思っている。人生を賭けた大実験という感じで、今後どう変化するのか、最終的にどこに辿り着くのか今からとても楽しみ。

また、私自身のトランスジェンダー観や、トランスをやめて巻き戻してみようと思った理由などについても、別の記事でちょっと書いてみようと思っているので、もしよかったら読んでみてね👋

@lain21
ロンドンで機械学習エンジニアをしています。趣味は写真、ギター、ワイン、旅行、読書。トランスジェンダーMtX(male to x-gender, mixture)。 ロンドンでポートレート写真など撮って欲しいとかあれば気軽にお受けします(撮影は金曜か週末、納期は1ヶ月ほど、費用は応相談ですが趣味レベルなのでかなりお安め)。