私のXのタイムラインでNext.jsおよびVercelが話題になると 「Proは高い。VPSで十分」という意見を各人がつぶやきはじめるっていう流れがある。観測範囲ではDHHが脱クラウドを宣言してから同調する意見が増えた印象がある。発言者は欧米のインディーデベロッパーが中心でベテラン開発者で、月$5で運用できるDigital OceanやHetzner、VultrのVPSを推すというポジションだ。今日はVercelのVPoPがそれに反応して、「VPSでNextセルフホスト試してるなう」とポストしていた。Vercelにベンダーロックインでないことをデモでアピールする算段らしい。彼はこの手のDevRel系の火消しを得意とする。
どうしてもウェブ技術の先端はメジャーリーグである米国にありというイメージが我々日本人にはあるが、誕生する場所としてはそうだけど(世界的巨大企業などのIssueが日夜発生するので)、利用者の母数として見ると英語圏は全体の層自体が厚く結構な数の保守的な層もいる。HTMXなど一見懐古的な技術を支持する人たちもそんな雰囲気だ。
一方日本では、保守的な声は当然あるが、存在感が小さいと思う。パイが小さく私も無意識に近寄らないようにして見逃しているだけかもしれないが。
そういう現場でなくともフロントエンドは変化の速度が速いと散々言われながらも。フットワークの軽い企業からシュッと合意を取って、「もうみんな飛び込みましたよ」とばかりにどんどんツールを乗り換えて新規導入していく空気が業界全体にありそれがカンファレンスや勉強会で高速に共有されて果てはSIerとかにまで伝染していたりする。つまり全体として見ると利用者間での新技術の持ち込みサイクルが異常に早い。
共有といえばカンファレンスでの講演内容をスライドに圧縮して大人数で観覧するあの文化も日本独特感がある。欧米のカンファレンスでは動画が配信されているのでそれを見ることが多い。SpeakerDeckの年間アクセス数ランキングを見ると日本語コンテンツが圧倒的に多い。たまに英語スライドとして見かけるのはデザイナー系かGooglerのグーグルスライドなどだ(スライドのみ、がないわけではないけど講演詳細を知りたいときは動画は?と要求される)。
これを考えるときにQiita創業時のサービスデザインのインタビューで語られていた「StackOverflowのような質問サイトを目指していたが、回答にあたる投稿をユーザーに投稿させておき、ググってたどり着くようにした方が上手くいった」というエピソードが頭に浮かぶ。
何となく中国や韓国(あとなぜかドイツ)の技術コミュニティは日本と似た印象を持っている(Googleトレンドで見ると、流行るライブラリの傾向が似ている)。新技術の持ち込みサイクルが早いのが功を奏して独自の周回を築いている可能性もある。
それが単一の言語や価値観や文化の問題なのか、大都市近郊に意思決定者がみんな集まっている影響なのか、もしくはこの欧米との差異自体も自体私の思い込みなのかはわからない。誰か教えて欲しい。