男性美容とクリーンアーキテクチャ

laiso
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美容や健康の領域では、20-30代は自分の価値をプラスに高める活動が中心ですが、40-50代になると老化によるノイズを取り除く、マイナスを減らす活動へと変化します。この変化は、ソフトウェアアーキテクチャの目的や効果の変化にも当てはまります。ウェットウェアである肉体と同様に、ソフトウェアアーキテクチャも環境や時期に応じて目的や効果が変わります。

肉体のように分かりやすいシグナルがないため、正しく判断することが難しいです。そのため、環境変化に適応し、最適な選択を行う能力が求められます。

特に、トレードオフ分析は重要です。環境変化に応じてアーキテクチャを評価し、最適な選択を行うことで事業のレバレッジを高めることができるのがアーキテクトの面白いところです。

クリーンアーキテクチャなどの設計思想は、保守性や変更・テスト容易性を高める利点がありつつも、開発コストが高くなるというトレードオフがあります。

開発コストは時間的な制約を意味するため、顧客のニーズを探索する速度を求める時期のスタートアップでの価値が高いです。そのため、クリーンアーキテクチャの保守性と開発コストのトレードオフは慎重に考える必要があります(保守性で速度が上がる面があるのでトレードオフなことに注意が必要です)。

しかし、一定の売り上げ規模のある大企業では、時間をかけてリスクを抑えることが目標に対して合理的に働く場面もあります。このような環境では、先のトレードオフは保守的に捉えることができます。

またリソースリッチな大企業では、開発コストを下げるためにモジュール単位あたりの開発者数を増やす選択肢もあります。このような選択はスタートアップの環境では難しいのです。

IT産業は他の産業と比べて成長のスピードが速く、求められる時間軸も短いです。そのため、エンジニアには急激な環境変化への適応能力が特に求められます。例えば、ファウンディングエンジニアがIPO前には複数部門のマネージャーを兼任するようなケースは頻繁に見られます。

加齢による環境の変化はせいぜい10年スパンで起こることが多いですが、IT産業ではこれが数年で起こることが珍しくありません。その時に例えるなら「20-30代の肉体を持ちつつ40-50代の精神が求められる」環境に放り込まれると考えたらなんと大変なことでしょう。

このような急激な変化に対応するためには、全ての人が適応力を持つことが重要ですが、それはそうと人材は多様です。

私の周りにも、周囲の誰からも尊敬されるエンジニアだが創業初期のスタートアップで働くことのみを選択したい人もいます。

なのでスタートアップエコシステムが成熟し、人材や会計、法務などの環境も発展することで長期的に改善されることで過ごしやすくなるのが理想でしょう。


PS: 見出しの印象目的で男性とつけました。他意はありませんが、もし「オニオンアーキテクチャのごとく医薬部外品を塗りたくるのレイヤーを構築せよ」という話題だと勘違いした読者がおりましたらこのページ辿り着くお前が間違っている

@laiso
インターネットユーザー。lai.so