言葉の拡張(2024.5.11)

lantana
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この間久しぶりに『虐殺器官』を読み返した。まだ途中だが、主人公のクラヴィス・シェパード大尉は言葉への執着があって、それが自分と似ているので好き。例えば、上司らの話を聞いている途中に、会話の中で出てきた「戦争遂行業務」という言葉の不思議な感じについて考えてしまうシーンがあった。戦争に業務という概念があることが言葉の違和感の正体であるとクラヴィスは考えた。本来戦争は何かの信念や譲れないものがあって国家が衝突するようなことを指したのに、この小説のアメリカではそれがアウトソーシングするまでに業務化している。現実の現代では戦争についてそこまでドライではないが、技術の進歩などで同じように言葉の意味が広がったりすることがあり、そこに興味を持ってしまうのはとてもよく分かる。

私は昨日(2024.5.10)、太陽フレアのニュースを見た。大規模なものが起きて、翌日朝(つまり今日の朝)にはネット通信に障害が出るかもしれないと言っていた。私はそこで「なるほど、距離があるし光ではないから当然何時間か時差はあるんだな」と思った後、ふと「星の間のことも『時差』と言うのだろうか?」と思った。

思えば高校生のときも地学の時間に同じようなことを考えた気がするが、宇宙規模のようにあまりに距離がある場合は時間の概念が崩壊してしまうのではないか。「同時」というものも成り立たない。

それはともかくとして、星の間の「時差」について言葉の拡張を感じるということが言いたかった。スマホで少し見たところ、宇宙ステーションとの時差はあるらしい。

言語学に興味があったのに最近はあまり学べていない。今井むつみさんの本が気になっている。

昔木村木苺名義で作った短歌を思い出したのでそれを書いて終わり。

 

  戦争を外部委託し文法の奥深くにはねむるセイレン

@lantana
ランタナ/木苺/出フェイ 日記みたいに日々のことを書きたい