家の近くのネパール料理店でビリヤニを食べた。けっこう日本人チューニングのビリヤニだったけど、日本人なので美味しかった。
記事
暇人にしか書けない、かつエーアイ時代になり恐ろしく価値が下がってしまったタイプの記事を書いた。満足である
実山椒
祖母宅には山椒の木が自生しており実をつけている。恥ずかしながら、俺は山椒といえば粉末状で鰻に供されるかたちのものしか知らなかった。最近になって母がちりめん山椒を買ってきたり、実山椒の仕込みをしている人を Bluesky で見かけたりといったことが重なり、粉末でない形態で食用する山椒について興味が出てきていたのだった。
山椒についての(俺がここ数日で知った)知識を共有しておこう。山椒はミカン科サンショウ属に属する植物であり、日本各地に自生する、東アジア原産の落葉広葉樹だ。雌雄異株の植物としても知られ、雌株だけが実をつける。英語では Japanese pepper などと呼ばれる。ジャパニーズペッパーってマジかよ。
山椒の名を冠しながら、山椒と同等かそれ以上に有名なものにオオサンショウウオがある。その名の由来には諸説あるが、その身が山椒の香りを放つというのが有名な話である。美食で知られる北大路魯山人は『山椒魚』にて、山椒魚を捌くうちに家の中が山椒の香りに包まれたと書いている。ただこれはあくまで俗説であり、本当かは怪しいところであるらしい。山椒魚は半分に割いても生きているという伝説からハンザキと呼ばれるなど、眉唾エピソードに事欠かない生物であるのだ。でもまあ、身から山椒の匂いがするというのはちょっと惹かれる伝承ではある。オオサンショウオは天然記念物なので、その身の香りを確かめることは日本じゃもう叶わないのだが...
山椒の話に戻る。唐辛子にとっての辛みがカプサイシンによるものであるように、山椒の刺激はサンショオールと呼ばれる物質によるものとされている。サンショオールは単に痛みの受容体を刺激するだけでなく、カリウムチャネルというやつに作用するのが特徴らしい。カリウムチャネルは麻酔の文脈などで登場し、麻酔によってこれが活性化されることで鎮静作用をもたらす。サンショオールは逆にこのカリウムチャネルを阻害することで神経細胞を活性化するという。これによる刺激が、山椒がもたらすあのピリピリとした痺れといわれている。(参考)
われわれにもっとも馴染み深い粉山椒は、秋になって熟した果実を乾燥させ、そこから種を除いて皮だけを集めすりつぶしたものらしい。他にもさまざまな部分が食用とされ主に和食で用いられており、若葉は「木の芽」と呼ばれ和食の薬味として用いられるほか、雄花は花山椒として用いられる。若い果実は実山椒などと呼ばれ、これを加工して佃煮やちりめん山椒、その他薬味として用いられるそうだ。
この季節、祖母宅にある小屋の隣、日当たりが良いのか悪いのかもわからないような場所に生えるその低木が実らせているのはこの実山椒にあたる。欲しくて植えたわけでもなくただ自生しているものであるため、特に収穫して使ったりはしていないらしい。となれば挑戦である。早速おれは祖母宅での庭師としての仕事を片付けがてら山椒を採集してきたのであった。
前置きが長くなったが、やっと今日の話ができる。今日は実山椒の下処理をした。実山椒はそのままでは固く刺激も強いため、美味しく食べるために下処理をする必要がある。枝や葉を取って洗ったら、塩茹でしてから水に数時間さらしておく。茹で時間と水にさらす時間が増えるほど山椒独特の刺激は弱まっていくので、使いたい料理や好みに基づいて調整するらしい。
今日の俺はといえば下茹でするところまではよかったが、そこで異変に気がついた。種子が非常に硬いのである。本当なら茹でた時点で指で潰せるくらいには柔らかくなるはずであったが、柔らかくなるのは果肉だけで種子はカリッとしたままだった。おそらくは収穫するのが遅くて実が固くなってしまったのだろう。これは困った。ふっくらした実山椒食べたかったんだけどな...
仕方がないので、今回は食べられる部分だけを干しておくことにした。果肉と皮だけをチマチマ外して干し、種子は捨てた。干した部分をどう使うかとかは考えていないが、薬味か香りつけくらいには使えることだろう。
当初の目算どおりには行かなかったが、種子を外す作業ではそれなりに発見があった。山椒仕事をしているときは山椒の香りが部屋いっぱいに広がるのだが、鼻を突く香りは確かに山椒のものでありながら、同時に柑橘の香りなのである。果皮や果肉もよく見ると柑橘っぽさがあり、ミカン属というその分類を再発見することになった。こうやって知識が増えていくのは楽しいことだ。
さっきも干した山椒の様子を見て、乾きを知るべくツンツンしてきた。これはサンショオールの仕業、指先がピリピリしてきた。