昔見たライブ自慢なおばちゃんのただの戯言になりそう。
でもどうしてもマニの思い出として、この日2001年8月19日サマソニ大阪で聴いたプライマルスクリームのライブを、覚えていることだけでもここに書いておきたい。
この日見たライブ(ここで聴いた今は存在しない新曲)と翌月9.11にアメリカで起こった悲劇をテレビで一晩中ライブ中継で震えながら見たショックから、その当時作っていた自作HPに長々と異様に興奮しすぎなサマソニと事件の感想を書いていたのに、HP閉鎖時にデータを保存したUSBを引っ越しした時に捨てた。ボビーがもうこの世に存在しないとコメントした曲の感想を、誰が見るかわからない場所に(今はAIも)、ただの素人の私のわけのわからない言葉は残さない方がいいかと考えて、自分が見える範囲では消した。
でも、マニが亡くなられたと知り、いろいろ思い出しながらプライマルの『Live in Japan』を聞いているとどうしてもこの年のサマソニの感想はやっぱり記録しておきたくなった。
2001年のサマソニ大阪は、南港WTCオープンエアスタジアム(野外ステージ)で開催された。海風がまともに吹きつけ、たしか地面がまだ砂地でちょろっと芝生?雑草が生えていて、風と客が暴れて巻き上がる砂がコンタクトをしていた目に入りひりひりして全身汗と砂埃と誰かがほおり投げて浴びたビールでぐっちゃぐちゃになっていた。それでも全部目に焼き付けて耳から音を拾って脳内に刻みたかった。
トリ前(トリがBECKだった!)に現れたプライマルスクリームは、音が海風に流されようがめちゃくちゃ攻撃的でバッキバキで煽られまくって、マニの分厚くて攻めまくりのベースがぶんぶんが鳴り響き、むっちゃくちゃカッコよかった。たぶんマイブラディバレンタイン、ケヴィン・シールズもサポートメンバーで来てたと思う(プライマルと来てた時のぎゃんぎゃんくそでかノイジーギターを鳴らしまくるのに、自分が弾かない曲では無表情でぼんやりオーディエンスの様子をステージ端から見ながら、でもなんかふわっと楽しそうな独特の居住まいが忘れられない)。イネス、ヤング、ケヴィンのギター三本とマニのベース。ダフィさんのキーボード。ダレンのドラム。問答無用で煽られて飛び跳ねたくなる。
ただ、フロントマン、ボーカルのボビーだけがかなり体調が悪そうだった。その当時以前もその頃も、いつもフワフワふらふらしているイメージだったけど、この日はほぼ棒立ちかしゃがみこんでしまったり、マイクスタンドを握りしめて支えにしないと立てないぐらいな様子で、遠目で見ていてもはっきり具合悪そうだとわかるぐらい。途中で止まらないか心配しながら聞いていた。
数回(回数覚えてない)見たライブのほとんどのボビーは、ある意味体調キメキメ、独特のふわふわ感を漂わせながらもバッキバキのかっこいいロックンローラーです。
この日だけが、私が数回見た中では珍しい状態だった。
ライブ中、曲と曲の間でマニはボビーを励まし続けていた。歌う以外、話すのもしんどそうなボビーを勢いよく押しのけてマイクを奪い、オーディエンスに向けて”日本のみんなありがとな!”的な気の良い兄ちゃんのようなMCを挟んでくれて、マニが止めないから大丈夫なんだろうなと妙に納得してしまうほど存在感は大きかった。
マイクをマニに奪われたボビーが、マイクの角度をマニがグッと上にあげたまま離れていった後、自分用に斜め下に下げる仕草が淡々としてるのにコミカルで面白かったのをはっきり覚えてる(このやり取り、違う年のライブでも見た気がする)。具合悪いのにその時は無言で”戻せよ”と思ってるような、心の声が聞こえてきそうな仕草が兄弟みたいで本当に面白かった。鼻を拭いたかかんだしたボビーを見て、鼻水取れたかチェック?みたいに顔を見たり、スヌーピーみたいなボビーの鼻をつまんでみたり、ぼんやりしてるボビーと世話人マニがわちゃわちゃしていた。
この時、まだ発売されてない新曲を聴いた。きっと今と違って急なキャンセルはできないとか絶対ライブはやるみたいな信念と、具合が悪くても絶対歌って届けたい曲だったんだろうと想像してる。
2000年に発売されたアルバム『XTRMNTR』は、はっきりとわかりやすく攻撃的な言葉が並んだ政治批判と突き上げられるような音が特徴で、野外で聴くのが楽しみだった。日暮れ時の海風が強めに吹いて音が流されてるのに、ここはZEPPか小さめのライブハウスだろうかと思うぐらい爆音と扇動的なノイズとボビーの歌声と歌詞に意識を連れていかれた。
サマソニで聴いた新曲は、英語がぺらぺらじゃない私でも聞き取れるようなアメリカにちなんだ固有名詞や攻撃的な単語が並んでいた。みんな気づけよ、今にやばいことが起きそうだぞ、目を向けろ、拳を突き上げろと鼓舞されてるような印象だった。
翌月、偶然だったんだろうけど、歌詞に出てくる描写とよく似たことが本当に起こった。メディアまでがその歌詞を書いた経緯などを疑うような流れになった。ファンとしては、この曲やプライマルがどうなるかとても不安になりながら、情報を集めて待つことにした。
8月19日に聞いた新曲は、もうこの世に存在しないとボビーがどれかの雑誌でコメントしていた。
次に出たアルバム『Evil Heat』には、”Rise”が入っている。
サマソニ大阪で思うように歌えなかったことのお詫び的なジャパンツアーが2002年に開催された。
大阪2DAYS。ボビーは元気。マニもベースをぶいぶい唸らせて、やっぱりMCは一言だけでも勢いがあってご機嫌さんなお兄さんみたいで温かかった。二日間とも、もちろん最高。(一日目か二日目だったか忘れたけど、ライブが終わってステージの撤収が始まったので帰ろうと思い後ろを向くと、じっとステージを黙って見つめ続ける背の高い男の人とぶつかりそうになった。ロッキングオンの山崎洋一郎さんでした。ステージを見つめる目の強さに驚きました。私は外で著名な方をお見掛けしてもプライベートで過ごされている時間だと特に声を掛けない考えだけど、その時の山崎さんの雰囲気はなんとも独特なゾーンに入られているように見えて、なぜか咄嗟に素人が邪魔したらあかん世界や、と思い、すぐに横から通り抜けて出口に向かいました)
大阪の後の東京3DAYSの音源を、プライマルとして初めてのライブアルバムとして発売してくれた。
いろいろ起きて発売された『Live in Japan』は、とても大切な一枚。
マニの姿を思い出すために、スローンローゼズはもちろん、プライマルスクリームのアルバムの中でも特にこのライブアルバムには思い入れがあるのでこれからも大切に聴き続けて、2001年8月19日のステージの記憶を少しでも忘れないように覚えておきたい。