子どもの頃、お正月なんて12月の喧騒のおまけくらいにしか思っていなかった。
師走に入ってすぐ、わたしは誕生日を迎える。そしてクリスマス、冬休み、大みそかと大賑わいで駆け抜け、やってくるお正月。お年玉はうれしかったけれど、それ以外はなんだか拍子抜けするような、みんながめでたいと言うからめでたいのだろうなとむりやり自分を納得させるような、そんなものだった。テレビを見れば走ってばっかりだし、周りの友だちがお正月に仲良く遊ぶという“いとこ”とやらはわたしたち姉妹にはいなかったし。お正月のごちそうだって、今みたいに子ども向けメニューがたくさんあるわけではなかったし。
そんなわけで、お正月本体よりも、お正月に向けてパタパタと賑わう街や世間の方が楽しいなあとずっと思っていた。
だけど、それなりに歳を重ね、家族ができてようやくお正月の良さをしんみりと感じるようになった。1年間どうにか乗り切り、新しい年をみんな揃って健康に迎えられた喜び。子どもの頃や若い頃はそんなものは意識しないものだったけれど、たくさんの出会いや別れを経て、決して当たり前ではないことを痛感するようになった。
区切りをつけて、また1年頑張って生き抜いていこうねと大切な人と労いあうのがお正月なんだろうな、とこの歳になってようやくしみじみと感じ入る。