おおむね、朝は夫の弁当を作る。「おおむね」としたのは、極端に朝が弱いわたしは時折寝坊をして、作る時間がなくなってしまうからだ。
今日は無事に寝坊を回避。スムーズに弁当作りに着手した。とはいえ、起きたとはいうものの、それは、かなり、起床と就寝のあわいともいうべき状態で、要は頭がぼやぼやとしている。
それでも、まずは卵焼きを作る。ぼやぼやした頭でも作れるよう、ルーティン化しているのだ。卵液を流し込んで巻く、卵液を流し込んで巻く……と繰り返しているうちに、少しずつ起床側へと意識が傾く。
彩りにスナップエンドウを入れると良かろうと思い、筋をとって斜めに包丁を入れ、半分に切る。先ほどまで卵焼きを焼いていた四角いフライパンへ放り、焼き目がつくのを待っていると切り口からポロッと小さな豆がこぼれ落ちた。スナップエンドウの味わいのメインはサヤであるからして、豆はまあ一旦無視してもかまわないだろう。かまわない……だろう…。いや、かまうな。さあお戻り、と慈愛の心で小さな豆をサヤへ押し込んだ。