お風呂で頭を洗っている最中に、ふと韻を踏むフレーズを思いついた。わたしはラッパーでも詩人ないけれど、「これはなかなかおもしろい韻なのでは!?」と思い、お風呂から上がったらメモしておこうと鼻息荒くたかぶった。
なのに、だ。のんきにのんびりと浴槽につかり、風呂上がりのストレッチなどをしているうちにすっかりときれいさっぱり忘却の彼方へ消えてしまったではないか。
どうにかして思い出したい。ああーーー思い出せない! モヤモヤする!!
浅い記憶の浜辺で、砂に埋もれたそれらしき言葉のかけらを拾ってみるも、どれも違う。頭を激しく動かしてしまうとそのはずみでさらに見当たらなくなってしまいそうな気がして、メガネを押し上げる仕草も思わず控えめになる。耳からこぼれ落ちてしまう気もして、そっと耳を塞ぐ。……ダメだ。いくら考えても海馬の奥底に沈んでしまったようで、思い出せないとなると余計にすばらしい韻だったような気がしてしまい、無念さがより極まる。