ドラッグストアで買い物をして、支払いのときに財布の中身が足りないことに気づいた。数百円の不足。現金のみしか取り扱っていないお店だったので、カードもpaypayも使えない。詰んだ。
仕方なく店員さんにその旨を告げ、品物をひとつ減らしてもらうことに。しまったという思いと若干の恥ずかしさを感じつつ、動揺を悟られぬよう振る舞う。必要以上に笑顔を見せたような気がする。
しかし、車に戻った後、動揺を見せないようにしすぎて逆に動揺が伝わってしまったんじゃないかと思う。最後に笑顔でお礼を伝えたのはダメ押しになっていなかったか。じゃあ最適な振る舞いって一体なんだったんだよと頭をかかえる。「こういうとき、どんな顔すればいいか分からないの」である。
……その前に、まずは、財布の中身を掌握してお金をきちんと持っておくことだね。
しかし、生まれてこのかたずっとお金の勘定が苦手で、というか、数字そのものが苦手で、センター試験の数ⅡBで6点を叩き出したのは何を隠そう私だ。(言い訳をしておくと、高3の4月の時点で国立は諦め、センター試験は3教科でどうにかなる公立の大学に絞っていたので……いやそれが言い訳になるような点数ではないけれど……)
「いくらなんでも」と、自己採点で天を仰いだのを昨日のように思い出す。
とにかく、ずっと数字とは仲違いをしたままなのだ。請求書の作成でも、お店での支払いでも、飲み会の幹事で参加者数を把握せねばならぬときも、いつだって計算しようとすると、たちどころに数字は実体を失い、手のひらから霧散していく。消えた数字はそう簡単に戻ってきてはくれない。今や、公文で算数を学習しているこどもたちの方がよっぽど数字と仲良しだ。