「朝マックを食べてみたい」と子どもが言うので、それならばと家族でやってきた。
マクドナルドへお昼に行くことは時折あるけれど、確かに朝に連れて行ったことはない。私はときどき無性に食べたくなり、ひとりでこっそり来ているけれど。
思いのほか空いていた店内で、心の準備もそこそこにレジに呼ばれる。何にしようかと悩んでいると、下の子が「サイドはヨーグルト、ドリンクはミルクにしてください」とスラスラと店員さんへ注文を伝えており、さすがマクドナルド・ネイティブだな……と慄く。確か私が初めてマクドナルドに行ったのは中学生くらいのことで、この小さな地方都市ではハンバーガーといえばドムドムバーガーかロッテリアの二択だったのだ。
無事に注文を終え、2階の大きな窓がある席を選ぶ。今日は1月だというのにあまりに春のようで、差し込む光が暖かいを通り越して暑いに切り替わりそうなほどだ。目の前には国道が走り、めいめいにどこかへ向かう車がせわしなく駆け抜けていく様子が眩しい。
いよいよ運ばれてきたメニューに、上の子のテンションはピークを迎えた。まずはどこかでおいしいと聞きつけたらしいハッシュポテトをひとくち齧ると、眉をぐいと上げて「なにこれうまい!!」と驚く。こんなの初めて食べた、めっちゃおいしい、等々とにかくハッシュポテトへと寄せられる賞賛の声たち。果たして私は最近そんな最高潮の笑顔で何かを食べられているだろうか……。
食べ終えた後も余韻に浸り、その味わいを何度も反芻しているようだったので、思わず「もう一つ食べたら?」と私が言うと「いいの!?」と喜び勇むも、小心者ゆえに一人でレジで注文するとなると二の足を踏んでいる様子で、見かねた下の子がついてゆく始末。それでもなんとかハッシュポテトのおかわりを無事に手に入れ、そのおいしさに再び出会った。食べ終えるのが惜しいのだろう、ずいぶんと小さなひと口で食べ進めている。しかし、あえなくハッシュポテトは彼の胃の中へと収まっていった。