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出会いは高校の図書館だった。作家名はよく耳にしていたので、学校に揃っていたのを見つけたので手に取ったのがきっかけだった。
高校を卒業してからは、たまに図書館で借りていた。夏になると読みたくなる。続けて借りるのではなく、年に一回読むのがいいなというペースで手に取っていた。
最近読んだ本はどれも文庫ばかりで、どれを読んだか把握していない節がある。記憶力の低下もあるだろうが、やはりハードカバーの方が自分の手に、記憶に染み付いている感じがある。
というわけで、好きと言える作品は10代のときはそれなりに語れたかもしれないが、今となってはパッと思いつかない。それでも少年アリスは特別だと思う。あと、夏至祭あたりか。初期作品ほど空気感が好きだ。
今回読んだ『夜啼く鳥は夢を見た』は久しぶりにささった。夏の暑さと水蜜の冷ややかさ、沼の不透明さ、睡蓮、そして三人の少年。誰もが少しずつ正気じゃない。ずぶずぶとその世界に堕ちてしまったとき、物語が終わってしまった。
長野まゆみの持ち味は『少年性』だ。ここを詳しく語ると危ない人になりそうなんだけど、こういう時どう表現すればいいのだろう…昭和のかおりがする日本の肌が白く線の細い少年だったり、ヨーロッパが舞台でありそうな幻想的な世界の少年だったりが主に登場する。登場人物は日本ベースが中学生〜高校生くらいで、外国舞台のものは11歳〜くらいの印象がある。
長野まゆみの作品は、夏の鬱蒼とした影を感じたり、冬の透明な空気を味わったりできる。春や秋が舞台のお話もあっただろうけど。とにかく描写がエモーショナルだ。キラキラした鉱石や星、水面、果実などのモチーフがよく出てくる。自然とそういったものが好きになってしまう。
今BUMP OF CHICKENを聴きながらこれを書いていて、ふと「バンプって長野まゆみの影響も受けていそう」と感じて検索したら
思うよね…!
バンプも初期作品ほど少年性がよく表れていたと思う。
でもこの記事を読むと、両方とも宮沢賢治リスペクトなだけでは感が否めないが…
宮沢賢治に影響を受けているアーティストを好きな傾向は自分にはありそうだが、肝心の宮沢賢治の小説や詩はよく分からない。
まだ読んでいない本があるので、また間を開けてから読もう。