一昨日、いつものファミレスにて。サラダと、夫はピザ、私はドリアと3品を注文した。このお店でサラダを注文するのは珍しいことだった。
「おまたせしました」早々にサラダが到着する。それはテーブルの真ん中に置かれた。「こちら取皿になります」上にトングが載った、重ねられた2枚の小皿が私の方に置かれた。夫はそれをサッと自分の方に寄せ、まず私のぶんを取り分けてくれた。
「ドリアとピザでございます」店員さんが何も構わずドリアを夫の方に置こうとしたので、私は手を挙げた。ピザは夫の方に置かれたが、「こちら取皿になります」小皿とピザカッターが私の方に置かれた。
なんで?????
私はドリアを食べるが??????
夫はまたもサッとそれを自分の方に寄せ、器用にピザを切り分け「1切れ食べる?」と差し出してきた。ピザはいつものようにおいしかった。ドリアはこのお店で頼んだのは初めてだったが、冷えた身体に沁みてこちらもおいしかった。なのに、ちょっとモヤっとした気持ちが残ってしまった。
夜も更け、一旦夫におやすみを言ったあとだったがまだモヤついていたので「起きてる?」と声をかけた。「今日ファミレスでモヤモヤしたことがある。夫くんのことではない」と言うと「えー、何だろう。当ててみる」と考え始めた。あれこれ答えたがどれも外れていて、夫は気づかなかったんだなと分かる。残念がっているわけではない。夫は何も思わず、自然と皿を自分に寄せていたのだ。
夫はだんだんあてずっぽうなことを言い始めたが、そのあてずっぽうも数撃てば当たるというもので「サラダのトングが妻さんの方に向けられた」と言ったので「半分正解!」と言い、正確な答え「取皿(onトング、onピザカッター)を私の方に置かれた」ことを話した。なんでこんなにモヤモヤするのかねぇとも。以前にもこんなことがあったね、と言われる。何度かあったうちのいくつかを思い出す。
家電量販店へ新しい冷蔵庫を買いに行ったとき。女性の店員さんが対応してくれたが、性能などを主に私に向けて話していた。気に触ったので「うちは夫が料理をしてくれるので」と言ったら驚いていた。
はちみつ屋でいろんなはちみつを試食させていただいていたとき。レモンの花を蜜にしたものと、ミカンの花を蜜にしたものを食べ比べ、「微妙に違うでしょ?」と販売員さんに問われた。私は「本当ですね」と答え、夫はよく分からないと首をかしげた。すると「やはりおいしい料理を作ってくださっている方は違うわね」と肩をポンと叩かれた。このときは家電の説明を聞いていたわけではないので一旦何も言わなかったが、いざはちみつを選ぶとき「夫がホットケーキを作ってくれるんですけど、合うものは何ですか?」と尋ねると販売員さんは驚いていた。
どちらの案件も、私はモヤモヤしてしまっていた。「私がやれっていうの!?」とは違う。私の気持ちは夫に向いていた。「夫は素晴らしいのに!夫がやってくれるのに!それが分からないなんて!」という思いがあるのだと分かった。
Xをダラダラ見ていると(良くない)「夫が何もしてくれない」「夫は無能」の例がどんどん挙げられ流れて。まあ気が利かないよねと思う程度だけど、うちの夫は違う。すぐにサッと何でもやってくれる。過剰に心配して私の行動を先回りするような時もあるが、それが彼の性だ。いつも頼りにしている。逆に私はそれに甘えっぱなしだし、気が利かないしで良くない。
現在は夫とばかり外食しているが、以前はどうだっただろう。思いを馳せる。人とごはんを食べるとき、取分皿を出されるような場面が何度もあったはずだ。うーん…大体、各々で好きなぶんを取っていた気がする。会社の飲み会とかだと、面倒見のいいパートさんがササッと取り分けてくれていた気はするが。
それに、私だって夫に頼りっぱなしなわけではない。今回のファミレスはメニューがタッチパネルで、私が先に注文が決まったので入力してしまい、席を立ってドリンクバーまで二人分の水を取りに行った。このくらいのことはできるが、なにぶん気が利かないためそちらに気が回らずぼーっとしてしまうことだってある。そうなると夫が取りに行くことになってしまうが。
そんなわけで、私は「夫は素晴らしいんだぞ、その辺の男とは違うんだぞ」と示したいらしいのだ。自分のことではないのに何を自慢したがるのか。自分を自慢しまくるよりいいかもしれない。どうだろう。知らん。でも、もっと自分で色々できたうえで自慢したい気持ちもある。私はへっぽこである。この年までへっぽこなので、もう治らないかもしれない。それでも夫を見習って、少しでも気が利くようになりたい。周りを観察すること、相手を思いやること。大事なことだ。