最近話題になっているヴィレヴァンの経営について。真面目に書いたら長くなりそうだし、かといって現状思っていることを連ねると他の人と同じようなことしか書けない気がする。なので思い出話から入ろうと思う。
うちの故郷はサブカルとは程遠かったので県内にヴィレヴァンはなく、金沢にあるのを知っていたくらいだった。いくつの時だろう、入ったときは「すごい店だな」という印象しかなく、幼い私はそこで買い物をすることがなかった。
大学は滋賀に進学した。電車に乗れば行けるパルコでヴィレヴァンに再び出会う。しかも1フロア全体が店舗だった。そこで寺山修司の文庫に出会い、パルコ内のカフェで読みふけった。最初に買ったのは『青女論』だった。
思い出終わり。
何回か行ったとは思うのだけど、他に何を買ったのかとかさっぱり覚えていない。あまりにも昔のことだし、4回生のときにモノを減らすのにハマってしまい、本もほとんど売ってしまったからだ。でも、パルコのヴィレヴァンは私を形成してくれたということだけは身体に刻まれている。
大学を卒業して故郷に戻ってしまったが、何年か経ってヴィレヴァンがロフトのあるビルに進出してきた。私はヴィレヴァンの株を買った。優待で商品券が付いてくる。しかし、これであまり本を買うことはなく、顔パックを買うのによく使っていた。でも、店長が変わったのかな?と思う程に本の品揃えがよくなった時期があった。
千葉では近い所だと市川のショッピングモールにあったのだけど、ここも本の品揃えがイマイチだった。水戸では市内と隣の市に店舗があるけれど、こちらは本自体がほとんど見当たらない。もはやカービィグッズを見に行く場所になっている。サンリオグッズなんかも眺めている。
故郷のヴィレヴァンは何年か前になくなったらしい。このぶっ込んだ記事をキッカケに、お店の雰囲気が昔のようになってくれないかなと願う。
そういえば古本屋仲間に、90年代にヴィレヴァンで店長をやっていたという人がいた。他の店舗と競って本の品揃えを充実させていたらしい。とてもいい話だし、いちばんいい時期だったのかもしれない。
うちのお店を知らない人に「本も雑貨も置いている」と言うと「ああ、ヴィレヴァンみたいな?」と言われたことが何回かあった。うーん、だいぶ違うかな…そういえば、うちの店の話をするときに「雑貨も置いている」という説明をしなくなった。そもそも最近雑貨を仕入れていない。問屋の方が文具や紙雑貨にあまり力を入れなくなってしまい、仕入れたいものが全然ないのだ。今は雑貨を置く場所があまりなくて、前のお店の方が面積が狭かったのにどうやって並べていたのだろう、とぼんやり考えることがある。そしてお店全体のディスプレイに納得がいっていない。ヴィレヴァンとはまた違った雰囲気で、サブカル文化を感じられるようなお店になりたい。