『クラクラした』という表現

licotta
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公開:2024/7/9

『マリリン・トールド・ミー』山口マリコ

夢中で読んでしまった。以前読んだこの作者の『あたしたちよくやってる』は何日かに分けたけれど、あれはエッセイ混じりの短編だった。小説は一気に読むに限る…と最近思う。

ネットでこの本の感想を眺めていたら「〜という事実にクラクラした。」という言葉があった。唐突に、『クラクラした』という表現、好きだなと自覚した。今までよく見かけていたけど、自分では使ったことがない表現だ。

この表現にどんなイメージを持っているのか考えてみる。(いい意味で)唐突にやられる、衝撃を受ける、に加えて、目の前が真っ白になってチカチカするというイメージがある。世界が一気に明るくなるような。でも、すぐには立てない。衝撃を受けてクラクラしているから。

表現自体は明確に分かるのに、果たして自分がこのような経験をしたかと言われれば、パッと思い出せない。そのような経験がないと、イメージなんて持てないと思うのだけど。使ってみたい言葉の候補になった。

読んでいる手を止めてしまう程の衝撃を受けたい。でも、衝撃を受け続けているからこそ手が止まらないのかもしれない。クラクラし続けながら、本を読んでいるのかもしれない。それはちょっと危ういな。

なので、私がどんどん読めちゃうような本にはどこかしらこの『クラクラした』という表示が似合うものが多いように思う。

先週、これも一気読みした湊かなえの『少女』。これもたぶん、クラクラできる物語だったのだろう。感想には「後味が悪い終わり方」という言葉がいくつかあったが、私はこのお話はむしろ爽快感があった。

そしておそらく、この『クラクラした』感覚は女性的で、かつ女性が書いた本でしか体験できない気がする。何だろう、目の前に推しが突然現れたら女性はクラクラしそうだけど男性はそんなことはなく熱狂したりただ緊張したりする、みたいな…あくまで今思いついたイメージなので、感覚としてクラクラしたことがある男性がいらしたらぜひお話を聞きたい。