そっくりさん?

licotta
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公開:2025/6/13

いつもの喫茶店、普段は飴ちゃんが1つついてくるのだけど今日はちょっと豪華だった。

入店したとき、マスターが「あれっ?」という顔をした。その瞬間、察した。「さっき…」私は首を振った。テーブル席に座っていた女性二人が「あら、さっき似たような方がいらしたわねぇ」「服装も同じでねぇ」と話し始めた。何となくそうじゃないかと思ったが、当たっていた。自分と似たような背格好の人が来ていたのだ。

「美人さんでねぇ」「ここに来るのは美人さんが多いわねぇ」「私たちもその中に入るかしら」とこちらに向かって話し始めた。私はウフフと笑って返しながら席に着いた。ブレンドを注文してひと息ついてから、持ってきた文庫を開いた。コーヒーを運んできたマスターが「先程は失礼しました」と言うので、いえいえと答える。全く気にしていない。本は2冊持ってきていて、どちらも200ページ程の本で3分の2くらい読んでおり、両方とも読了してしまった。1時間くらいいただろうか。先程の女性たちは帰り、別の男性がカレーを食べていた。

この喫茶店はお客さんの9割がお年寄りだ。たまに行くようになって2年半は経つが、常連さんの顔は分からない。今回のように話しかけられることはほとんどないので覚えられないのは当然だ。しかし、よくよく考えてみればマスターが他の人と私を間違えるなんて、自分ははっきり顔を覚えられていないのだなと思うとちょっと寂しいかも。いやいいんだけど。先に来た人を私と間違えたのかもしれない。その人もたびたび来るのだろうか?といった具合で、マスターもお年寄りなので私のような若い…若くはないが、客層の中では若輩な人間は区別がつかないのかもしれないなと思ったのだった。

あちこちでアジサイが咲いている。土日の天気は不安定で、来週は暑いらしい。