3月の週末。友人C&M夫婦の家にお呼ばれランチ。会うのは昨年の5月、フランスのGW中の田舎バカンスぶり。お家はオフィス街に近い閑静な住宅街にある。パリ近郊といえど私たちと真逆の方角だし、メトロもないから小旅行の気分。
アペロはフムス、野菜のタルティーヌ、サラザン(そば粉)のチップス、ゴマつきグリッシーニ。泡で乾杯。開口一番、Cにフランス語上達したねと褒められ、語学コミュニティのPolyglotを勧められる。近況のキャッチアップ。Mからは最近見た日本のドキュメンタリーの話。フランスの番組で、ラブドールと寝る男性の話が紹介されたらしい。40代男性は奥さんと不仲で離婚済みで、そこからラブドールに頼っているとのこと。日本の文化=アダルト産業と勘違いしてほしくないと思いつつ、会話に花を咲かせる。
大人がアペロを楽しんでいる間、子どもたちもそれぞれ楽しんでいた。長い旅路でお腹をすかせてぐずぐずしてたむすこも、家に着いた瞬間からお兄ちゃんRと一緒におもちゃに夢中になって遊んでた。
ランチはラザニアとサラダ。ドレッシングはオリーブオイルとバルサミコがきいて食が進む。むすこは人生初のラザニアを、大きな口を開けながら大人顔負けな量を食べていた。デザートはわが家が持参したBenoit Castelのバニラケーキ。クリームがなめらかでクッキー生地との相性が良い。
定番の話題、夏のバカンス。Mの出身地でもあり、彼らの家族で毎月訪れるブルターニュ地方を、わが家では今年の場所として検討していた。彼女の実家の場所は、海も近く、山も森もあり、可愛らしい街があるエリア。もしかしたら夏に家族で一緒に過ごせるかも、とのことで胸がおどる。
お腹が満たされた後、むすこはお昼寝。夫はRと木のブロック、KAPLAでタワー作りに挑戦していた。どうやったら薄いブロックを積み重ねて、エッフェル塔を作れるだろう?エンジニアの夫らしく、思考の上ブロック遊びに真剣に取り組む。
できあがった木のエッフェル塔は、本物にはあまり似ていないが、立派な塔になっていた。限りあるKAPLAという木のブロックでここまでできることに素直に感動したし、創造性を発揮したRと夫を誇りに思った。様子を見守っていたMは、「KAPLAxアートは、LisaのアートPodcastのアイデアになりそうね」と笑いながらいってくれた。どうやら彼らの家で一緒にKAPLA遊びをしたのは、夫が初めてだったらしい。
晴れ間が見えてきた夕方、お散歩に出かけた。家から15分も歩けば、川沿いに広がる公園にたどりつく。ブルターニュの生活はパリと何がいちばん違う?と私が投げかけた質問に、Mは「自然。海や山があんなに近くにあったこと、当たり前だと思ったけどパリに来て痛感する。自然が恋しい」と答えた。誰しも離れてみて感じる故郷のありがたみは、国を離れるものだけでなく、同じ国の中でも都市を移動しても感じるのだな、とMに共感した。
川を挟んでオフィス街を左手に、右手には広い敷地に緑の芝生と遊具があり、家族連れの子どもたちがおのおの遊びを楽しんでいる。小さい子でも落ちないようになっているブランコもあり、むすこもブランコデビュー。パパは後ろから、ママは前から押して、最初は宙に浮くのを不安そうな表情でいたむすこも、慣れるとともに笑い声を上げて楽しんでいた。また、忘れたくない初めての瞬間を目の当たりにした。
フランスの好きなところは、予定を入れすぎないこと。2時間で次の予定に、と急ぐのではなく、せっかくの休日を味わい深く昼から夕方まで美味しいものと会話とともに楽しむこと。C&M夫婦と深く会話もできたし、むすこはRお兄さんと遊べて満足そうだったし、二家族で水入らずの時間を過ごせた。
穏やかな休日だった。