『外国語上達法 / 千野栄一 (1986)』を読んだ。子どもにどんな言語環境を用意するのが最適なのか?という問いから論文を読み漁り、その流れで自身の言語上達をより良い形で行うには?という問いに流れ着いた。外国語学習法の名著だけあり、とても楽しく読めた。
言語の習得に必要なものは?—語学の神様・S先生の教えを要約すると、「お金と時間、語彙と文法、良い教科書・良い先生・良い辞書」。本書はこの要素を千野氏がエッセイ形式で解説する。
いちばんの学びは「語学を習う目的(何のためにやるのか)と程度(どの程度習得するのか)が明確であることが何よりも重要」であること。文字にすると当たり前すぎるが、いまのじぶんには刺さった。私の場合は、習得する言語はフランス語と英語と決まっている。この二言語を使って自然によどみなく仕事や生活ができること、自分の思想や感情を伝えられること、古典や興味深い小説を読めることが目標。
「文学を楽しみ、会話もでき、その言語で手紙も論文も書けるようになるには最低4,000〜5,000語が必要になり、その学習には3〜4年が必要。」
どの程度(読み・書き・話す)習得するのかによって、必要な語彙数も変わってくる。これまで言語能力のレベル(B1・B2など)を意識した学習はしていたが、語彙数を意識したことはなかったので、この具体的な単語数を示してもらったことが励みになりそう。
また、習得には最低3〜4年はかかること、学習は毎日少しでも継続して繰り返すことが必要と言い切ってくれることもありがたかった。どうしても語学の学習はレベルテストを除けば達成感が見えないので、底なし沼になりやすい。
仕事を辞めて本格的にフランス語の学習に励んだときは、スタートアップ脳でいたので、四半期〜半年で結果を出さねばと意気込んでいた。そもそも時間軸に無理があったことは、いまでは身にしみてわかる。もっと長い時間軸で、毎日コツコツと繰り返していくことで自然と力がついてくる。現に本腰を入れて勉強を始めてから、少しずつ山を登って自信もつけてきている。私の性格にはこのスタイルの方があってそうだ。
毎日繰り返し学習すること、目的とゴールを明確にすることの大切さにあらためて気づかせてくれた本だった。
筋肉は裏切らない、語学学習も裏切らない。語学は筋トレ。