2024年4月6日土曜日夜。パリ・ラデファンスアリーナにて、久石譲シンフォニックコンサートに参加した。ひょんなことから、公演数日前に友人が行けないことが決まり、1枚余ったチケットが回ってきたのだ。
チケット予約開始の9月某日、1時間前から待機しててもチケットが取れなかったので、縁がないと諦めていた。久石譲の音楽を、フランスに移住してからずっとずっと聴き続けていた。この数年でいちばん聴いていた音楽でもあったから、本人の生演奏が聞けないことはとても残念だった。それが、まさか公演数日前に行けることになるとは。
夢のような150分。心が動くってこういうことか、と身をもって体験できた時間だった。セットリストは以下の通り。
前半:ナウシカ / 魔女の宅急便 / もののけ / 風立ちぬ
-20分休憩-
後半:ラピュタ(音楽隊さんたち) / 紅の豚(ジャズ風で小休止) / ハウル / ポニョ / 千と千尋 / トトロ
アンコール:紅の豚 - Madness / アシタカとサン
なにより心が動かされたのは、久石譲とオーケストラ・合唱団の掛け合わせで最高の音楽をつくりあげていたところ。久石さんは、主に指揮者として、時に演奏者として、音楽をリードする。そこにオーケストラ・合唱団の一人ひとりが、それぞれの音を奏でて作品がつくりあげられている。しかも楽曲に参加する人数はおそらく200人を超えていた。しかも、当たり前だけど、メンバーに日本人はほぼおらずヨーロッパの人たちで構成されている。世界を回るときに同じ曲でもそれぞれ違うメンバーと良質な音楽をつくっている、その事実に感動した。
演出もよかった。ジブリ映画がテーマなので、スクリーン上に映された各作品のパートとともに曲が演奏される。観客はそのシーンに思いを馳せながら、生演奏を楽しむ。セットリストも緩急があり、全くだれることなく一分一秒を味わうことができた。
ジブリ映画の世界的な評価は、もちろん宮崎駿の功績(*本公演は宮崎作品のみで高畑作品は入っていない)だけど、久石譲の音楽の貢献は計り知れない。ヨーロッパ室内最大の会場を満席にしたこと、観客の年齢層も幅広かったことからも、両者の世界的な人気を窺い知ることができた。宮崎さん、高畑さん、久石さんがつくるジブリ作品に出会えたこと。パリでこの作品を生演奏で聴く場を共有できたこと。日本人でよかった、と思える瞬間だった。
(訳) 音楽を愛するみなさまへ、
このかけがえのない大切な瞬間をともに過ごすことができて、とても幸せです。こんなにも脆い世界だけど、愛と平和に満ちた、このような場をいつも夢見ることができるように。みなさまのご健康とご多幸をお祈りいたします。
久石譲
これからも、私のつくることの源であり続ける存在。