パリ市の市民講座、通称CAPのフランス語レッスン。2回目が終わった。3時間の長丁場にもかかわらず、終始笑って学んで楽しく過ごせた。
私たちのクラスは、週1回の3時間講義だけでなく、週1時間の自習が求められているハイブリッド型のコースになっている。自習時間も含めて1学期に60時間。週1で3時間のクラスを受け持つ先生の方が、週2で2時間の先生よりも授業の質が高い。単純にフランス語力のレベルが上がったのもあるかもしれないけれど。
はじめての生徒たちの自己紹介。出身国は韓国、ポーランド、ベラルーシ、イタリア。職業は銀行、建築家、FinTech企業(職種は不明)、大学院生でデジタル規制のスタートアップでインターン中。やっぱり、全員で参加した前回の方がバイブスはあったな。これで約25名のクラスメイトが無事に揃った。
学期中のプロジェクトは、討論(débat)であることが発表された。討論なんて日本語でもしたことほぼないのに(以前カナダ大学留学時代に英語で経験して、冷や汗かきながら臨んだのをいまだに覚えている)、ましてやフランス語でやることになるとは。先生曰く、プレゼンテーションは原稿を丸覚えしたり読んだりできるから、真の勉強にはならないという。討論の方が、事前準備はできるけど、その場で話すことになるので実力を試される、と。
先生はさらに続けた。「本当にフランス語を上達したければ、DeepLやGoogle翻訳は使わないこと。仏仏辞書を使うこと」——。
「このレベルまで来たからには、フランス語"で"考えることをゴールにしよう。頭の中で自言語に翻訳しながら言葉を扱っていたら、話すときも読むときも時間がかかるだけでなく、フランス語を真に理解したとはいえない。あなたたちのレベルだからこそ、翻訳は忘れなさい」と。
——衝撃だった。フランス語は英語に次ぐ第三言語で、この5年間で学習に投資してきたとはいえ、フランス語"で"考えるなんて概念は私の頭の中にはなかったからだ。いまだに思考は日本語ベースだし、書きはともかく読みは英語の方が断然楽だ。言語構造そのものがヨーロッパの言語と日本語で大きく異なるし、その言語構造は思考構造にも直結している。そんなじぶんがフランス語"で"考えられるようになるのだろうか?
未知の世界だが、6月までの約3ヶ月半、フランス語"で"考えることを念頭におき、講義中や普段の生活に取り入れていく。少なくとも講義中の3時間は実践できるし、家でも生活でも読み・書き・話すでフランス語の割合を高めていこう。日本語で書くエッセイとの折り合いは難しそうだけど。
まずは、DeepLをやめる。「DeepLは麻薬だよ」との言葉通り、コピペに慣れてしまうと理解して思考できなくなる。時間はかかっても、DeepLに頼らず、じぶんの頭で読み書きする。
一歩ずつ、足を進めていく。