久々に訪問したポンピドゥーセンターからのまなび。自分用めもなので言葉づかいや表記ゆれはご愛嬌ということで。。
◼️展示づくりや見せ方
・作品単体よりもどう飾っているかを主に見てたんだけど、やはり空間に合わせた絵画作品の作り方ってあるよなと全体通して思った。具体では常設展の入り口すぐ近くにあるフェルナンドレジェの大型おうむさん作品🦜(すごいよくて座って数分見てた)や、ヘルヴェデロサの作品配置はすごいよかった。作品と作品のあいま、狭すぎず広すぎない形、作品全体の調和がとれてることが大事に感じる。
・キュレーションの大切さ感じる。コレクション展、悪くないけど、ストーリーが感じられないので個別の作品でみちゃう&スルーしがち
・展示会作りに関わる人の多さ。Di Rosaの展示でもざっと見てプロが20-30名近く。2-3部屋の小さめの展示でもこれくらいだから、大型展とか関わる人めちゃ多いんだろうな。
・壁の色、みせかたがすごいよかった。白壁でなくグレー壁なんだけど、各面で微妙にグレーの濃さが違ってた。彫刻置いてある間の部屋はピンク薄パープルで、2つ目の部屋はまた違う色だった気がする(うろ覚え、ただ白ではなかった)。こうゆう些細なところに展示のこだわりを感じる。展示づくりにいかせそう。
・現代美術館らしくさまざまなメディア(絵画だけでなく、彫刻、写真、インスタレーション、映像など)を取り扱ってる点はよい。あと近代美術も巨匠見れてやっぱいいよね。ファッションとのコラボは前回もあったけど面白かった。美術館貸し出し事情もあるんだろうけど。
・インスタレーションはなかなか展示替え難しいよな。そういえばニキの作品は射撃のモンスターだった。毎回行くたびに作品が変わってるから定期的に行くのは面白いよね、頻度どれくらいで変わるかはわからないけど
・美術館は時代の流れも汲み取り多数のアーティストをジャンルごとにまとめて潮流を紹介するって役割も果たしているから、そもそもアーティスト個人と向き合っている今の状況と全然展示の目的もやり方も違いすぎるんだな。だからワクワクしないのかも。展示でマネできる意味ではギャラリーの方が参考になりそう。
◼️美術館の体験
・鑑賞は1h30-45だったけど見るものが多すぎて情報過多で疲れたな。目的絞ったほうが楽しめそう。今日はこのメディアや作品を重点的に見る!みたいな
・1h45mでもだいぶ情報量多い!お腹いっぱい!ってなった。普通の展示だったら1h-1h30mくらいでみれるかもな、と時間の感覚も身についてきた。さっきも書いたけど焦点が絞りきれなかったのが残念だったな。
・時間で言うと美術館が1.5-2h・MAX3-4hと想定すると、ギャラリーサイズかつ作家1人の個展だと20-30mくらいが関の山?と気づき。展示ってこの30分をどうデザインするかだよな。ギャラリーでも30分も滞在すること正直ない気がするな。こんどはかってみよう。あとどっかに1人がみる美術作品の秒数書いてあったから調べてみようっと (確か1作品あたり10-15秒とかだった気がする)
・タイムバリューは↑で書いた通りだけど、コストバリューも良いなと感じた。15EURでこれだけの体験ができるなら。カフェ2回と同じ料金と考えると、カフェ我慢してでも美術館に行く時間とお金投資した方が良いかもしれないな。ギャラリーならタダだし。
・特にポンピドゥーはあの広い空間に展覧会が多数存在する&コレクション展もあるから散漫しがち。素敵なんだけどね。ワタリウムや原美術館くらいの大きさ広さがちょうど良い。
・体験としては小さな美術館や、ギャラリーの方がよい。ストーリーや物語を感じられる。
・作品の見方をもっと深めたい!と思ったので、絵を見る技術本読み始めたいなーと思った。
・バカンス明けだったから?大人のレクチャーで作品を見る子どもたちを何組かみた。普段の授業(?)でこんな教育や時間を過ごせる子たちは幸せだなーとも思った。
・すごい混んでて10分くらい中入るのに並んだ、オンラインでチケット買っておけばよかった。月曜どこの美術館も閉まるから集まってくる説。まだまだポンピドゥーの人気は健在だなと実感
・ポンピドゥーに昔みたいなワクワク感を感じなかった、わたしの感性も鈍ってきたのかしら。。広すぎる空間、今の展示がいまいちビビッとこない、国関わってるので政治的な動きを感じる、とかが要因なのかな。。プロデュース的な観点でもあまりにも規模が違いすぎてこれ参考にできる!っていうのがあんまりなかったのもありそう。キュレーション(空間設計含む)、良い作家、良い作品の3つが揃うとWow!体験になるのかなとふと思った。
◼️心に残った・残らなかった作品
・よかったのは現代アーティストHerve Di Rosa の展示。作風は好みではないんだけど、圧倒的な世界観を感じた。どんなことを考えてつくってるのか、後で調べてみる。
・やっぱ作品いいなーと思ったのはフェルナンドレジェ、ベン、チリコ。ピカソもよかったな。あと緑顔と赤背景の作品と、アメリカアーティストのド派手な作品がすきだった。もっと好きなポイント言語化したい (*後述)
・インスタレーションで体験できたという意味でヨーゼフボイスのフェルト部屋、デュブュフェの体の中(?)、葉っぱの部屋よかった。
・ベンのショップは何回見ても感動する。アートとは何かにひたすら向き合ってたんだろうな。たぶん当時はニースの頭おかしい人扱いだっただろうけど、50年後こうやって美術館に置かれて人々を魅了してることは、彼の思想作品がいかに力を待っているかのあらわれかな。
・デュブュフェの体の中(?)は10年前に美奈子と一緒に入ったなーとか、昔の経験も思い出したり。作品の中に入り込むことで、異次元な世界に浸れたり。
・マティスの彫刻もあって、彼ほんといろんなもの作ってたんだなーって。マティスピカソに限らずアーティストのメディアの違いって面白い。
・ポンピドゥセンターが最近獲得した作品もコレクションのはしっこにおいてあった。黒人メインのは昔マティニョンにあるマリアンイブラヒムギャラリーで見た気がする。もうひとりの若手の作品はわたしにはピンと来なかったが、なんかウケそうな作品だった。30年後もあの作品を見るのかしら?
◼️作品のレビュー・作品解説・写真を見た後の言語化
・今回心に残った作品をピックするならこの5つ。
1はノーマークだった誰だろう。この構図とシーンの切り取り方が良い。顔のぷくぷく感や陰影の付け方も面白いし、小さい子どもが頑張って上のものを見ようとしてる姿も可愛いんだよね。子ども生まれてからやっぱり子どもが主体の絵に目がいく。
2はDi Rosaの中でもいちばんキャッチー(と私は思った)作品で、リアル炎上のシーンをコミカルに表現していて動きも鮮やかで。もっと見たいと思わせる作品だった。後で解説読んで彼がコミックカルチャーに影響を受けたことを知って納得した。
3はアメリカのPeter Saulさんの作品、Bewtiful & Stwong (1971)。初めて見たかも!まず作品の色彩に惹かれて、天使の輪に描かれてるスペル間違ってね?と二度見して、この男女の身体のフォルムどうなってる!?と三度見して、え!?え!?とみたいポイントがたっくさんあった面白い作品だった。解説を読んだら黒人解放運動のアイコンとフェミニスト活動家の人を描いてるみたいだ。抽象画よりもやっぱり対象物描いてる絵の方が惹かれるなぁ。
4はレジェのComposition aux deux perroquets (1935-39)。常設展入り口にあってとにかく巨大。1953に作家から寄贈されたって。ソファに座ってみたときには、まず人間のフォルムと描き方に目がいったけど、カラフルな鳥さん!が目に入る。浮かない表情をしてるし、真ん中の人たちは裸だし、その背後には幽霊ぽく青い影?が見えるし、どうなってる?どういうシチュエーション?と感じながらも、とにかく作品の大きさと丸っこさがありながら陰影がぼわぼわしてる感じ、レジェっぽいなーと思いながらふむふむみてた。作品キャプションとったらおうむさんがタイトルに入ってて納得、これが主題だったんだーと。解説読むと建築への興味とコルビジェとに影響を受けて作られた作品らしい。
5はベンのショップ。ベンは昨日詳しく描いたので割愛。
次点はMartial Raysseの Made in Japan - La Grande Odalisque (1964)。赤背景に緑顔の女性がぎょろっとこっちみてる姿の絵。けど気になったのはどっかでビジュアルになっててみたことがあるからと、Made in Japanってタイトルから入ったかもしれない。解説読むとルーブルのLa Grande Odalisqueをオマージュした作品らしい。美術史塗り替えの評価も入っての作品なのかなと。
・Di Rosaの展示会解説ペーパー読んだ。作品の背景がわかって面白かった、けどやっぱキャプションってサブでしかないなと実感する。作品が全て。けど彼の場合はキャプションを読まなくても展示してるもの(世界地図)やマテリアルの違いで世界を対象にしたプロジェクトをやっているのだなと気づくことができたし、この解説がより理解を深める手助けになったとは思う。けどコアになるのはやっぱ作品だなー。彼の作品に心打たれたのは、やっぱりアートのヒエラルキーを否定して、より身近なコミックとかを題材にしてる点だよね。モンスターズインクの作品みたい!って思ったけど彼の方が作成時期だいぶ早いw まだ80年代から直近の作品まで40年にわたって時系列で見れたことも作品の深みというか思想の一貫性を感じられたんだと思う。そこが、個人のアーティストの展示でもギャラリーの数年に1回の展示会と質量の深さの違いかなと感じた。
・今回時間とって初めて展示会の振り返りとよかった作品の言語化してみた。もちろんまだ外の世界に見せるには程遠いけど、やっぱり言語化するのは大事だなと思った。自分がどのような作品のどの要素に心を動かされるのか。良い作品、展示の裏にあるものは。正味、みた時間と同じくらいの時間をかけて消化しているけど、これはかけるべき時間だなと痛感している。もちろん、みて終わりでもいいんだけど、二度味わえる、日記みたいな存在かな。いつも「後でまとめよう」とか言ってやらないことが多い(というかやったことなかった・・・)けど、いまの自分が琴線に触れたことを言語化することでコアのヒントになる気がしたし、あとはプロデュースの観点でも刺激になった。やっぱりポンピドゥーはフランスの近現代美術館トップなので。
◼️Key Takeaway (めもから抜粋)
・作品配置のポイント:作品と作品のあいま、狭すぎず広すぎない形、作品全体の調和がとれてること
・展示づくりのポイント:ストーリーが感じられること
・鑑賞時間:美術館の普通の展示だったら1h-1h30m。ギャラリーサイズかつ作家1人の個展だと20-30mくらい。展示はこの時間をどうデザインするかが鍵。
・わたしが心地よく感じる広さ:ワタリウムや原美術館くらい。ポンピドゥーだと広すぎて情報過多で疲れる。
◼️ネクストアクション
- [ ] ギャラリーに行った時の滞在時間と作品数を定量化する →
- [x] ワタリウムや原美術館の広さを調べる→適切な空間広さを数字で把握する / ワタリウム敷地面積:157㎡ 延床面積:627㎡、原美術館はデータ見つからず
- [x] 1作品あたりの美術作品の秒数を調べる→美術館を訪れる人が1枚の絵にかける時間は平均17秒 (by 名画読解)