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20260625

善いトッピー
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公開:2026/6/25

どちらもとっくに鬼籍に入っているが、私の母方の祖父の名前は「利」で、祖母の名前は「トシ」だった。表記の違いだけで、読みはまったく同じ。ほぼ同姓同名だ。これにより若干の混乱が生じることもあり、祖母宛てに届く郵便物は、しばしば宛名が「トシ子様」などと先方都合でアレンジされていた。子どもながらに、おんなじ名前になることがわかっているのに、なんで結婚したんだろう⋯と不思議だった。

そんな同じ名前の夫婦のもとに生まれた私の母は、北の大地からやってきた男と原宿のキディランドで出会い結婚した。父が結婚のあいさつのために母の実家を訪れた時のこと、すんなりと両親から結婚の許しを得て、一息ついたところで母が用を足すために中座した。すかさず祖父が、父に「で、きみは婿養子に入るんだよな?」と訊いた。父は「いっすよ」と即答し、母がトイレから戻る頃には婿入りが決定していた。全然そんなつもりじゃなかった母はちょっと怒った。父は婿入りし、改姓し、職に就き、やがて母の実家の敷地内に居を構えた。兄たちが生まれ、それからだいぶ遅れて私が生まれた。

数年前、私も結婚して姓を変えた。学生時代から主に姓、あるいは姓由来のあだ名で呼ばれていたので、旧姓にはかなり愛着があったが、今の姓も少し珍しくかつシンプルで気に入っている。現職でも当たり前のように結婚後の姓を名乗っているのだが、この夏から夫とともに働くことになり、ちょっとした問題が出てきた。ごく小規模な会社で夫婦で働くので、2人で同じ案件にかかわることもたぶん頻繁にある。そうなったとき、打ち合わせやメールのやりとりで、お客さんは私のことを何と呼ぶだろうか。おそらく、やむを得ず私がファーストネームで呼ばれることになるのだろう。たまに見ますよね、そういうの。ただ、私は親しい友人や家族以外にファーストネームで呼ばれることにかなり抵抗があり、想像するだけでかなりゾワッとする。自分でも理由はよくわからない。ある種の聖域のようなものなのかもしれない。

そういうわけで、夫と相談して、新しい仕事では旧姓を名乗ることになった。名刺も旧姓で作る。ふたたびこの名前を名乗る機会がやってくるとは思っていなかったから、少し嬉しい。

【補遺】私が小学生の時、「自分の名前の由来をおうちの人に聞いてみよう」という宿題が出た。さっそく両親に尋ねると、しばしの逡巡ののち、当時活躍していた女子ゴルフ選手にあやかったのだ、という主旨の説明をしてくれた。父も母もゴルフはやらないし、テレビでゴルフ中継を見ていた記憶もない。ちなみに画数的には最悪の仕上がりだったようで、旧姓で姓名判断をすると概ね「大凶」と出る。さきほど久しぶりに診断してみたら、診断結果には’’非常識のことを平気で口にしていく 言葉の暴力、犯罪数でもある、交通事故、病難、精神錯乱、毒舌家 首から上、脳梗塞、失明、神経痛、手足の怪我と、交通事故、火傷、心身障害には注意が必要です’’と書かれていた。