不審者が家まで入ってきた。どうやったのか玄関の鍵を開ける音もしなかったが、ただ確かに自分の目の前のドアの向こうに立っている。「お宅の前、入りたい人で行列ができていますよ」と不審者が言った。男の声だった。それから不審者がドアノブに手を伸ばしたので、慌てて抑えた。ガチャガチャと音が鳴る。不審者の方が力が強く、こちらも必死に抑えるが、健闘むなしく開けられてしまう────
目が覚めた瞬間から頭痛と体のだるさがあった。悪夢も見たし気分は最悪だ。また風邪ひいたか、と思った。昨日は強風で、雨が降っていたが傘を差していられず、そのせいで風邪をひいたのかもしれない。
起き上がり、眼鏡を手に取ってかけ、いつものようにトイレに行く。リビングに帰って水を一口飲み、時計を見る。14時をだいぶ過ぎていた。昨日寝たのが21時半だったか。途中、目が覚めたときがあったとはいえ、17時間ほども寝ていたことに驚いた。自分は睡眠時間が長いほうだが、それでも長くて14時間くらいだ。それから、こんなに眠っていたのに体の疲れが取れていないのか、と悲しいやら悔しいやらな気持ちが湧いてきた。
充電していた自分のスマホの上には母のスマホが置かれており、代わりにそちらが充電されていた。下のスマホを取って起動させる。バッテリー98%。隣にあるノートパソコンの充電器を抜いておくのも忘れない。寒さを感じてきたので布団に戻る。自分の体温を分け与えた暖かさがありがたい。
横になる。まだ頭痛は消えない。過去の経験から水分不足によるものだろうと推測したが、布団の外に出るのが億劫だった。目の前の刺激で頭痛を忘れようと、スマホを付ける。しずかなインターネットに今日の記事を公開し、SNSに起床したことを記し、何か通知などがないかチェックする。ソシャゲをタップしてデイリーをこなす。
未だ主張する頭痛が鬱陶しくなってきた。しょうがないので起きあがり、お茶を飲む。即効性はないのは分かっている。だが一抹の不安が生じ、体温計を取ってから布団に戻る。体温計を脇に差すがなんとなくズレている気もする。まあいいか、としばし待つ。電子音が鳴り、引っこ抜いて体温計を見る。36.4。安心のような、拍子抜けのような、やはりミスなんじゃないかと不安のような。
ここで一つ思いつく。今日のことを日記にして記事にしよう。一日一枚記事を書いておきたいが、今日の分は何を書こうか悩んでいた。ちょうどいい、とブラウザを開き、新しい記事を作成した。出来上がるのも公開するのも楽しみだ。